第9章 遠い存在
(だから断ったのに〜〜〜///!!!)
はピッタリと密着してしまった自分の背中と、ダンデの体に、意識をしないよう必死だった。降りようにも、もうリザードンは飛び立ってしまい、流石に空中ダイブする勇気はなかった。
(ダンデのファンに見られたら私生きていけるのかな……こ、こういう時は、素数を数えるといいんだっけ?2、3、5、7、11、13…)
「怒ってるのか?」
無言でいたせいか、ダンデはが怒っていると思った。
「…怒ってないです」
「…ふふ、君は嘘をつくのが下手だな」
ダンデはおかしそうに笑った。ダンデに笑われ、はムッとした。
「そう言うダンデさんは、全っ然紳士じゃないです!騙されました!」
「騙されたって…俺がいつ君を騙したんだ?」
「うっ…それは…ダンデさんはもっと落ち着いている人なのかなって…」
「今は違うのか?」
「…ちょっと強引な人」
ダンデと出会う前は、テレビで見かけるほどの存在で、いつも落ち着いて話をしている印象があった。一方的にゲームでも色々知っていたが、当時そこまでダンデに目を向けていなかったせいか、あまり覚えていなかった。
しかしここガラルに来てから、ダンデとは思ったよりも接触があった。会えば会うほど、ぼんやりしていたダンデという人物が、はっきりしてきた。
「強引か…初めて言われた気がする」
「自分じゃ案外気が付かないものですよ」
「そう言う君は中々いじっぱりだと思うな」
「…素直じゃないって言いたいんですか?」
「ああ、思ってたより中々だ」
「むぅ…どうせ素直じゃないですよーだ」
そっぽを向いたは、プクッと小さく膨れた頬を作った。そんなの様子に、ダンデはふふっと小さく笑いをこぼした。
「----、そっちじゃなくてこっちだ」
まだそっぽを向いているに、ダンデは耳元でささやいた。
「(も〜///!この人距離感バグってるのどうにかして///!!!)……わぁ…すごい…!」
囁かれた耳を押さえながら、はダンデの言われた方角を見た。