第9章 遠い存在
辺りを見回すと、メロンが座っているバーカウンターの一番端に、白と黒の特徴的な髪の色のポニーテールを見かけた。
「あ、ルリナ、キバナ様、カブさん、ちょっと失礼します!」
は三人に声をかけると、一目散にネズの元へ向かった。
「誰の所に行くのかと思えばネズかよ」
「意外ですね、結構苦手そうなイメージがあったけど」
キバナとルリナは珍しそうとネズを見た。
「案外気が合うのかもしれない。ネズ君はああ見えて面倒見がいいから----それより、僕たちも何か食べないかい?せっかく食事もあるんだ」
部屋の真ん中には、大きな長方形のテーブルが置かれており、そこには豪華な食事が並んでいた。すでに何人かは食事を始めており、カブ、ルリナは食事を取ることにした。
「……」
一度とネズの方に振り返ったキバナだが、すぐに二人の後に続いた。
・・・・・
「ネズさん!初戦敗退お疲れ様です!」
「お前は俺にトドメを刺しにきたのですか?」
鬱陶しのが来たと言わんばかりに、ネズは眉間にシワを寄せてため息をついた。は「スパイクタウンで冷たくされたお返しです」と、ネズの睨みやため息にへこたれることなく、空いていた隣の背の高い椅子に腰掛けた。
「…とりあえず、キバナに勝ったことはお祝いしてやってもいいですが」
「じゃあドンペリで」
「アホですか、お前にはオレンジジュースが似合ってますよ」
「えー…まぁオレンジジュース好きですからいいですけど…」
ネズはバーテーブルの向かいにいるバーテンダーに眴をすると、バーテンダーはすぐにたちの元へ来た。
「彼女にオレンジジュースを」
「かしこまりました」
まさかオーダーしてくれるとは思わず、はポカンとした表情でネズを見た。スマートな男である。
「ありがとうございます」
は少し照れ臭そうに言うと、ネズはすでに飲みかけのモヒートを一口口につけた。
「明日二日酔いで棄権させるわけにはいきませんから」
「お酒くらいちゃんとセーブして飲めますぅ」
ふれて腐れるを横目に、ネズはもう一口アルコールを口に含んだ。