第9章 遠い存在
「今年のファイナルトーナメントの決勝戦、勝者に〜かんぱ〜い!!」
ルリナの声に合わせて、ガラルのジムリーダたちと、先ほどキバナとのバトルで勝利を納めたが、シャンパングラスを掲げて乾杯をした。
場所は変わり、ここはシュートシティのスタジアムではなく、ホテル・ロンドロゼのバー付きの部屋を貸し切っていた。毎年ファイナルトーナメントが終わると、ここで乾杯をするのが歴代の慣わしらしい。
「おめでとう、!やっぱり貴方ならキバナさんを倒すって思ってたわ!」
「おい!そりゃどういう意味だよ!!」
早速近くにいたルリナお祝いの言葉を述べてくれると、そんなに遠くない距離にいたキバナがめくじらを立ててやってきた。
「そのままの意味です。キバナさん相手に一体残すなんて、ダンデでも難しいことなのに…」
「る、ルリナ!今日は本当にポケモンたちの調子が良かったから勝てただけで…今日はそう!たまたま!たまたまですよね、キバナ様…?」
は気まずそうにキバナを見ると、ジトーっとした視線を向けられ、はひぇっと小声をあげて顔を逸らした。
「まぁまぁ、君たち。せっかくのお祝いなのにさんを困らせたら可哀想だよ」
そこへ救いの手を差し伸べてくれたのは、エンジンシティのジムを勤めるカブだった。「カブさん!」と、は嬉しそうにカブを見た。
「決勝戦おめでとう、どっちも素晴らしいバトルだったよ」
「ありがとうございます!カブさんとメロンさんのバトル激アツ良かったです!!最後のマルヤクデとラプラスの一騎打ち、めっちゃ燃えました!!!」
「彼女とは長く戦ってきたけど、相変わらず油断のできない人だよ。キバナ君は昔から苦手な相手だったね…」
「相性もありますもんね…」
とカブはキバナを見て苦笑いをすると、キバナは同じ部屋のバーでお酒を飲んでいるメロンを苦々しく見た。
「バトルもそうだけどよ、あの人酒も強いから一緒に飲むと記憶も飛ぶから気を付けないとな」
「そうだね…僕はもう何回も付き合わされてるけど」
「カブさん…」
遠い目をしたカブさんを、とキバナは何も言わずとも昔色々合ったのだと察した。