第9章 遠い存在
ドラゴンのバッジを見ていると、は頬を緩めた。
(ついに…ついにここまで来たんだ…あともう少し…もう少しで…ダンデさん、約束は守りますからね)
しばらくバッジを見ていると、キバナが気まずそうに声をかけてきた。
「なぁ…アレやらないのか?」
「……あれ?」
「ほら、いつも勝ったら飛び跳ねてるだろ。なんとかバッジ、ゲットだ〜とか」
「え、あ、あれ…ですか!?(私の真似してるキバナ様可愛すぎか///?!)えー…と、今日はちょっと、遠慮しようかなって…」
は少し恥ずかしげに、申し訳なさそうにキバナを見上げると、ジトっと責めるような目で見てくるキバナと目が合った。
「他のジムではやって、俺さまのジムではやらないなんて、そりゃおかしいだろ」
「だ、だってあれは勢いというか、気分が高揚しててですね…(ネズさんなんか呆れて見てたし…)」
「俺さまスッゲ〜楽しみにしてたのにな〜」
「うっ(ああああああ流し目のキバナ様あああああああ///!!!)」
「それなのにどっかの誰かさんは、俺さまのところのジム手袋までしてくるから、期待するだろ?」
「…あ///!!」
はとっさに手袋をしている右手を隠したが、キバナはとっくの昔に気が付いていた。
「これはキバナ様のところのトレーナーさんたちが勝手に!!」
「はいはい、わかったから」
「ちゃんと聞いてください!!!
プクッと頬を膨らませたは、キバナを睨みつけたが、ホオバリスが拗ねているようにしか見えなかった。
「も〜〜〜〜〜///!!!ドラゴンバッジ、ゲットだぜーーー!!!」
はヤケクソになりながら、顔を赤くして叫んだ。それを見て笑うキバナと、見守っていた観客たちから大きな歓声をもらった。
「ほら、いつまでもそんな拗ねんなって!記念に写真撮ろうぜ!」
「うぇ///?!」
グイッと肩を寄せられて、は急に近くなったキバナの距離に心臓が痛いくらい高鳴った。
「ま、待ってキバナ様っ///!(ヒー!!!死んじゃう///!!!)」
の悲鳴も虚しく、スマホロトムがにっこりと嬉しそうにパシャッと、写真を撮ってくれた。