第9章 遠い存在
「冷凍ビーム!!」
「まもるだ!(ハッサムはジュラルドンが抑えてくれてるが、こっちが何にも解決してねぇ!下手に地震や濁流をやってこねぇのは、ハッサムを巻き込みたくないからだ。守ってばっかりじゃ埒があかねぇ…けど、マジで強ぇ…ダブルも強ぇって反則だろ)蛇睨み!」
「ラグラージ、まもる!」
キン!と、防がれた蛇睨みはラグラージに効かず、キバナは無意識に眉を顰めた。
「(相手もまもるを覚えているなら、使わせる!)ラグラージ、そこら中に落ちてる岩をサダイジャに投げつけて!」
ラグラージは、すぐ近くに落ちていた、ギガイアスが作り出した岩を持ち上げると、サダイジャに投げつけた。
「クッソ!サダイジャ、まもる!」
「ジャ!」
サダイジャのまもるで、投げつけられた岩は粉々に砕けたが、ラグラージはまだ落ちていた岩を次々に投げつけた。
「耐えろ!サダイジャ!蛇睨みだ!(やるしかねぇ!!)」
「ラグラージ!まもる!」
頼みの綱であるジュラルドンは、未だハッサムと鋼の拳対決をしていた。
「おい、ジュラルドン!行くぞ!!」
「!!」
「荒れ狂えよ!俺のパートナー、やつをスタジアムごと吹き飛ばす!」
キバナは大きく吠えると、ジュラルドンをボールに戻した。ジュラルドンが戻ると、ボールは光りながら大きくなり、キバナの周りで飛んでいたスマホロトムが嬉しそうにキメ顔をしたキバナの写真をパシリ、と撮った。
ボールを放り投げると、さっき戻したジュラルドンが大きく、そして姿が変わって飛び出してきた。摩天楼のように高く聳えるジュラルドンを、、ラグラージ、ハッサムは見上げた。
「ダイスチル!!!」
下を見せげたジュラルドンは、ラグラージに狙いを定めた。前傾をかがめて、ガパっと口を開いたジュラルドンから、溶けた鋼のようなものがラグラージに向かって放たれた。
「(連続だけど!)ラグラージ、まもる!」
「ラグ!…!!」
まもるの体制に入ったラグラージだったが、ラグラージの周りに何かが起こった気配がなかった」
(失敗した!!!)
ヒュッとは息を呑んだ。それでもラグラージは防御の姿勢を崩さず、耐えるように向かってくるダイスチルに睨みつけた。