第9章 遠い存在
「すいません、さん」
キバナに見つめられ、ドギマギしていたに声をかけたのは、キバナのジムトレーナーたちだった。
「本当にバトル強いんですね!勉強になりました!」
「コンビネーションもですけど、ポケモンの技構成もしっかりされてますよね!」
「ダブルバトルは手慣れてるようでしたけど、もしかしてシングルよりダブルが得意なんですか?」
「え、えーっと…」
三人は興奮冷めやらぬ勢いでに質問した。
「お前ら、そんなに寄られたらビックリしてるだろ」
そこへやっと壁際から離れたキバナが、集まっているみんなのところへやってきた。キバナが来たことで、ジムトレーナーの三人は姿勢をピシッと正した。
「す、すいませんキバナさん!」
「気持ちはわかるぜ、コイツのダブルバトルはお前たちより上だ。随分やってないって割には、手慣れてるように見えたがな」
キバナが流し目でを見ると、はギクリと肩を揺らした。
(あ、あああああ流し目のキバナ様ぁぁぁああ///(合掌)でも嘘じゃない!本当にダブルバトル久しぶりだった!)
何か言いたそうなキバナの視線に、はサッと顔を逸らした。
「…俺さまは先にナックルジムに行く、お前も準備できたら来いよな」
と、キバナはそう言って先に宝物庫から出て行った。
「…」
「あー…キバナさんスイッチ入っちゃってるよ」
「だってこんなに強いチャレンジャーさんって久々だもの!気合が入るのも当然よ!!」
「さん、大丈夫ですか?」
リョータ、ヒトミ、レナは、キバナの様子が既に変わったことに気がついていた。ここを出る前に、すでにギラギラとした目で見られたを心配そうに顔を伺った。
「…え、あ、はい!大丈夫ですよ!!!」
キバナが出て行った扉をはボーッと見ていたが、名前を呼ばれて意識が戻った。
「やっぱりかっこいいなって…///」
ポッと赤くなった頬に手を当てて、は困ったように三人を見た。