第9章 遠い存在
翌日、朝食を終えて少し経った時間にナックルジムのスタジアムまでやってきた。受付の係の人と話を済ますと、ユニフォームに着替えて宝物庫に言ってくださいという指示をもらった。
ユニフォームに着替えたは、エレズンを抱えて指定された宝物庫に向かった。来る途中、ユニフォームを見た街の人たちに歓声を送られたり、キバナとの戦いを楽しみにしていると応援された。
「ドラゴンタイプの手袋つけないんですか〜?」
「ファンだからって、気ぃ抜くなよ!!!」
(私がキバナ様のファンってめちゃくちゃバレるんですけどっ///!!)
宝物庫前に着くと、は大きく息を吸って、宝物庫を見上げた。
(ついにキバナ様とバトルか…いやいや、キバナ様の前にジムトレーナー倒さなきゃなんだけど…なんだけどぉ……やっぱり緊張するよっ!!!)
の頬はすでに赤く、宝物庫の扉に触れようと伸ばした左手が、扉を目前にプルプル震えていた。
「エレ〜?」
右腕に抱えられたエレズンが、不思議そうにを見ていた。
「ご、ごめんね、エレズン!今、開けるから!」
そういうも、手は扉を押そうとはしない。開けなくていけない、そう思えば思うほど、心臓はバクバクと大きな音をたてて、ますます緊張してくるのがわかった。
(私、キバナ様とどう話してたっけ…あああああせっかく会えるから楽しみにしてたのに、会えるって思ったらなんか緊張してきた…でも行かなきゃ…)
よし!と、は心を決めた。左手を丸め、トントンと、扉にノックをしようと手を振り上げた。