第9章 遠い存在
ネズとの戦いから三日、軽く炎上していたポケッターは少しずつ収まっていた。思っていたよりも早く見れた試合は、ジムトレーナーのリョウタが知らせてくれた。
ちょうどジェラルドンのトレーニング終わりに、こいつお気に入りのワックスで綺麗に拭いてやっている最中だった。
今回もどんなバトルを見せてくれるのかワクワクしていたら、炎上のきっかけとなった冷凍ビームがカメラに当たり、試合の後半が見れなくなった。流石の俺さまも「はぁ?」って思った。
後日試合の結果と、設備の不備についての謝罪の文が公式から発表された。ネズに勝ったということは、ついに、が俺さまへ挑戦しにくるということだ。
俺さまのところへ来る前になんとなく「来るだろう」と確信していた。ポケッターや違う動画サイトで、ネズとの最後のバトル動画を探すも、ネズのファンがいた場所も氷漬けにされたフェンスと、それに憤るファンの声が上がってくるばかりだった。
ネズもそこでレフリーをしていたファンの野郎も、何にも言わないらしい…という情報も見た。
(何を隠してやがるんだよ、ネズ)
ロトムスマホで、画面が凍る直前までのあいつとネズのバトルを静かに見ていた。今回もはバトル中に、笑うことはなかった。
(ポケモンも強くて勝ちまくってるのに、余裕の笑みすら浮かべねぇ…普通勝ってたら笑うだろ)
バトルの後はバッチをかざして喜んでいる姿が映し出されているが、本当にこいつは----。
「俺さまとのバトルを、つまらねぇなんて言わせないぜ」
久しぶりの強い、そしてダンデが戦いたいトレーナー…俺さまはたとえ俺さまのファンでも手加減はしねぇ。何を思って、何を抱えていたとしても、俺さまはガラル最強のジムリーダー、キバナだ。
「追加であと1時間ランニングでもするか---」
「ジュラ!」
早く来い、。
俺と俺さまのポケモンで、お前を倒してやる----そして今年こそ、今年こそお前に勝つって決めてるんだ!ダンデ!!!