第8章 ジム巡り②
リザードンとタチフサグマは、お互いを睨みつけると唸り声をあげて威嚇しあっていた。それに比例して、リザードンの尻尾の炎も大きくなり、ネズのタチフサグマが強いとは感じた。
「(スカタンクの誘爆を受けさせちゃったけど、大丈夫そう…それよりもタチフサグマ…悪とノーマルの複合ってことは、覚える技の範囲も多いし、何より面倒なのは…)リザードン、雷パンチ!」
「バギュア!!!」
の指示が飛ぶと、リザードンは待ってましたと言わんばかりに勢いよくタチフサグマにに向かって飛び出していった。右手にはバチバチと雷を纏わせながら、タチフサグマの顔目掛けて大きく振りかぶった。
「ブロッキング!」
「グルゥアアアア!!」
タチフサグマは腕を組んだまま、突っ込んできたリザードンの雷を両腕で受け止めた。拳に力を込めても、タチフサグマは全く後ろに下がる気配はなく、リザードンは素早く後ろへ飛んだ。
(カウンターを警戒されてますね…さっきの雷パンチは小手調べでしょう)
ネズは距離をとったリザードンと、を静かに見た。次の攻撃に備えて、向こうも戦略を立てているに違いないとネズは思った。
「来ないならこっちから行ってやりましょう、タチフサグマ!シャドークロー!」
腕をクロスさせていたタチフサグマがようやく腕を解き、鋭い爪にさらに紫色の不気味なオーラをまとませて、切り裂きにリザードンへと向かってきた。
「ドラゴンクローで受け止めて!」
リザードンにもう一度ドラゴンクローの指示を出すと、向かってくるタチフサグマのシャドークローに合わせて、振りかぶっているシャドークローをドラゴンクローで受け止めた。
ギギギギギと、お互い力の推しくらべをしながらも、タチフサグマのもう片方の手が、同じように紫色の不気味なオーラを纏ったシャドークローを振り回してきた。
咄嗟にリザードンは首を後ろにしたことで、シャドークローは当たらずに済んだ。リザードンも自身の片手をタチフサグマに向けて振りかざした。
爪同士が当たり合い、キン、キンと甲高い音がスタジアムに響いた。一歩も引かない2匹の戦いに、は手を、ネズはマイクをギュッと握った。