第2章 推薦状
【ローズ視点】
「俺は彼女が何を思って自分を抑えているのか知りたい」
そう言ったダンデ君の顔は穏やかだが、自分の中に燻っているものの正体にわからず、苦しそうにも見えた。
「だったら自分で推薦状を渡せばよかったんじゃないかな?」
私がそういうと、ダンデ君は「今の見てましたよね」と、居心地悪そうに言った。さっきの二人の行動を目の前で見たものとしては、苦笑いを返すしかなかった。
「私の推測ですが、君はカントー出身の方なので、ああいったアプローチは苦手なんじゃないかな。」
「カントーから・・・遠いところから来たんですね」
「昔の話ですがカントーに赴いた時、あちらの女性は少し照れ屋で静かな方が多かった気がするよ」
少しでもダンデ君のヒントにならないか、思いつく限りのことを話してみた。彼は少し考える素振りを見せて、困ったような顔をして
「次は気をつけます」
と、だけ言った。
・・・・・
「いつもの彼らしくなかったですね」
ダンデ君が部屋を出て行ったあと、オリーヴ君が君に出した紅茶の後片付けをしながら私に言った。
私は彼女の言ったことがおかしくて、つい笑ってしまった。
「私、何かおかしなことをおっしゃいましたでしょうか?」
「フフ、君も中々鈍いんだなって」
ダンデ君も、オリーブ君も、そしてガラルにやってきた君。今年も最高のショーが見られそうだ。
「彼らを見ていたら10歳若返ったようだよ、オリーヴ君」
「本日ご予定のランニングはまだしておられませんが」
「そうだったね」
「このあとのご予定ですが、12時からマクロコスモスのエネルギー科との会議があります」
いつも通りのオリーブ君に、私は苦笑いを溢した。
さて、ダンデ君。彼女はキバナ君のファンらしいが、うまくいくことを願ってるよ。