第7章 友達
シビルドンとダンデが戯れているのを、は少し離れたところで見ていた。自転車からエレズン用のポケフーズを出し、それを座ってエレズンに食べさせていた。
「バトル、どうだった?」
「…う?」
はエレズンに問いかけると、エレズンはモグモグ口を動かしてながら、自分を背に膝に乗せているの顔を見上げた。どこか憂鬱そうな顔で問う主人に、エレズンは首を傾げた。
は気を遣ってくれたダンデに申し訳ないと思いつつも、自分の中に巣食う恐怖と不安に押しつぶされそうで怖かった。
(もう2年…2年も経ったのにまだ…)
バトルを心から楽しめないこと、そして負けることへの恐怖がを追い詰め、息が詰まりそうだった____そんな時、自分の肩にポンとおかれた手にはハッと意識が戻った。
誰だろうと横を見ると、ゲンガーが自分の頬をこれでもかと横いっぱいに伸ばしていた。
「ゲーン」
「……ブフッ、なぁに、その顔!」
は笑いを堪えきれず、その場で笑うと、ゲンガーは伸ばしてい顔を今度は潰してみたり、が笑っている様子を見ながら、次々と変顔を披露した。
その笑い声がダンデの耳にも届き、振り返って見てみると、ゲンガーの変顔に笑っているの姿が見えてフッと微笑んだ。
「アハハハ!もうわかった!わかったから変顔やめて!」
「ゲローン」
ゲンガーはが目に涙を浮かべて笑っているのを見て、ニンマリと笑ってみせた。やっと変顔をやめてくれたゲンガーに、ははぁーっと大きなため息を吐いた。
「ゲンガ?」
「うん、元気出たよ。ありがとう」
「ゲンゲン」
はニコッと笑ってみせると、ゲンガーもニコリと笑った。
「エレー」
の膝の上に座っていたエレズンは、先程ゲンガーがやってみせた変顔を真似してとゲンガーに見せた。
とゲンガーは一瞬、キョトン…としたが、エレズンの突然の変顔に、どっちが先か、プッと笑い声が漏れた。
「やだ〜!ゲンガーの真似してる!可愛い!!」
「ゲ〜ン」
はギュッとエレズンを抱きしめ、ゲンガーはうんうんと満足げに頷いていた。