第7章 友達
【ダンデ視点】
俺を見上げるの表情は、どこか切ない顔をしているように見えた。
いつか俺に訪れるかもしれない敗北を、彼女は心配してくれているのだろうか…?
「負けるなんて考えたこともないからな…でも、その時が来たら俺は…」
俺はどうしたいんだろうか…。
彼女に言われるまで、本当に自分が負けることなんて想像したこともない。
考えすぎていたのか、隣にいるからクスクスと小さな笑い声が聞こえてきて、俺は彼女を見た。
「本当に考えたことがないんですね、ダンデさん」
「む…だってそうだろ、負けたことがないんだ。想像しにくい」
さっきまで閉じこもっていたは、俺がおかしく見えたのか可笑しそうに笑い、少し大人気なかったかもしれないが、俺は無愛想に返事をした。
「大丈夫ですよ」
なのに、はそんなことなど気にしている様子はなかった。
「大丈夫です、ダンデさんは自分で道を見つけられる人だから」
彼女の目に嘘はついていなかったと思った。
俺を見る柔らかい眼差しが、本当に大丈夫なんだと言っているように見えた。
「…そうだといいな」
どこかくすぐったいような気持ちになり、俺はまた無愛想な返事しかできなかった。
「君も…見つかるといいな、君の道が」
「…そう、ですね…」
苦笑いしたの顔を見て、俺は歯痒くなった。
君の抱えている何かを、俺に話してくれないか…なんて聞けず、それでも俺は友達だから、いつか話して欲しいと願った。
次に何を話していいのか分からず、俺たちの間に気まずい空気が流れて、俺は必死に何を話そうかと考えていた時だった。
「エレー!!」
のエレズンがシビルドンの背中に捕まりながら、こっちにやってきた。
「あ、ごめんエレズン!待たせちゃったね!」
は立ち上がると、エレズンとシビルドンの方へ歩き出した。俺も彼女の後に続き、気になっていたシビルドンを彼女の後ろから覗き見た。
「…シビ?」
俺の視線に気がついたシビルドンが首を傾げていたが、初めてみるシビルドンに俺はワクワクして、エレズンをちょうど抱き上げているに話しかけた。