第7章 友達
「疲れたか?」
ダンデは少しボーっとしているに話しかけた。
は首を横に振り、前を見ながら話し出した。
「やっぱりダンデさんは強いなって…きっと5分間のバトルじゃなかったら、負けてたなって…」
ははぁ、とため息を吐いた。
「それは俺にも分からない!現に俺は君のゲンガーに技一つ当てられなかった!俺はもっと君とバトルがしたくなった!!」
そう言い切ったダンデの声は明るく、は前を向いていた顔をダンデの方へ向けた。先程のバトルでギラギラとした闘志に燃える姿はなく、穏やかだが楽しげなダンデが目に写った。
(本当にバトルが好きなんだな…私もこんなに楽しめたらいいのに…)
バトル中に見た、ダンデの楽しそうな顔を思い出し、は隣にいるダンデが眩しく見えた。そんなダンデから目を逸らしたくて、はまた前を見た。
遠くを見つめているの横顔を見たダンデは、言おうか言わないか悩みながらも、バトルで感じたこと、動画を見ていて思っていたことを言うことにした。
「…負けるのが、怖いのか?」
「!」
ダンデが尋ねると、はわかりやすく体が震えた。
は伸ばしていた足を折り曲げ、体育座りになった。ギュッと足を抱きこんで、膝に顔を押し付けた。ギュッと腕に力を込めて、目を固く瞑った。
そんなの様子に、ダンデも同じように前を向いた。
そして独り言を言うかのように、ダンデはに話しかけた。
「俺も怖い、負けるのは……今まで負けたことがないから、特にな」
は隣で静かに話し出したダンデの話に耳を傾けた。
「でも俺はこのガラル地方のトレーナーたちを強くしたい!もっと熱いバトルをしたい!もっと盛り上げたいんだ!」
目を瞑っていても、隣から感じられるダンデの気配に、はゆっくり目を開き、チラリとダンデを見た。その横顔はキラキラと輝き、木陰から溢れる木漏れ日が一層ダンデを際立てているように見えた。
「…いつか、」
「ん?」
ボソリとつぶやいたの声に、ダンデはを見た。
「いつかダンデさんを倒す人が現れても、ですか?」