第7章 友達
【視点】
馬鹿だ、私は。
隣りから感じたダンデのバトルがしたい気持ちが伝染して、バトルをしないかと持ちかけてしまった。もちろんバトル狂人のダンデが断るはずもなく、眩しいくらいの笑顔で応えてくれた。
そのダンデはもうバトルの準備をしていて、所定の位置について準備運動をしている。
シビルドンをボールから出して、エレズンを見てもらうように頼んだ。
「エレズン、ここでシビルドンと見ててね。シビルドンもお願いね」
「シビ!」
シビルドンはビシッと敬礼のポーズをとり、任されたと言ったような気がした。エレズンは不安げに私を見ていて、私はエレズンの頭に手をおいた。
「生のバトルを見るのは初めてだったね。だから、今日はここで見てて」
私はエレズンの頭から手を離し、ダンデとは反対の所定の位置に向かった。
いやにドッドッドッ、と心臓が音を立てて居心地が悪い。ジム戦では感じたことのない緊張が手汗になって現れ、やっぱり私は馬鹿だと思った。
(チャンピオンに勝負を持ちかけるなんて…どうかしてるかも)
丁度ダンデの真向かいに立つと、ダンデはこちらを見ていた。
「まさか君からバトルがしたいなんて言われるとは思ってもいなかった!オフだからといって、俺は手を抜かないぜ!」
「(そう仕向けたのあなたなんですけど…)私も今出せる全力でいきます」
「…ルールは?」
「1対1で5分間はどうですか?フルバトルはまた今度、ちゃんとした場所でやりたいです」
「わかった、そうしよう」
言い終わると、ダンデは腰につけてあったボールを手に取り、それをフィールドに投げた。中から出てきたのは、フワリと宙に浮き、頭に二匹のドラメシアを搭載したドラパルトが出てきた。
(ドラパルトか…確かリザードンの前に出てきたやつだ。ということは…リザードンの次によく育てられてるし、ドラパルトは600族。スピードがとにかく早いポケモン)
ダンデは本当に手を抜かないのだ、と私は思った。
私もモンスターボールに手をかけ、フィールドに投げた。
「ゲンゲロゲーン!!」
私の手持ちで一番早いのはゲンガー。そして特殊攻撃を得意としている。ドラパルトに素早さは負けるけど、攻撃ならこっちが上だ。
「ゲンガー、今日の相手は一筋縄じゃいかないよ!」
「ゲン!」
私だって負ける気はない!