第7章 友達
紙袋からもう一つのアイテムを出すと、それはペラりとしたパッチだった。はそれをマジマジと見ると、カッと目を見開いた。
「こ、これって!!」
「やっぱり君なら知ってると思ったぜ」
ダンデははそのアイテムの存在を知っているとわかると、ニカっと笑って見せた。はそのパッチとダンデを交互に見ると、驚きで大声を上げそうになった口を手で押さえ込んだ。
「と、特製パッチじゃないですか!ポケモンの特性を夢特性、または隠れ特性に変えることができるめっちゃレアなやつ!?嘘!本当にこれいただいてもいいんですか!?!?」
は興奮気味にダンデに尋ねると、ダンデは「もちろんさ!」と笑顔で答えてくれた。手に持っている特製パッチを裏返したり、表に戻したり、は「凄い!凄いいい!!」と大はしゃぎ状態だった。
「誰に使おうかな〜!ゲンガーの浮遊も捨てがたいけど呪われボディもいいし、ドラピオンもカブトアーマーからスナイパーに変えるのもいいかも!いやでもギャラドスの自信過剰も気になってたし…」
はしゃいでいたは、スッと冷静になり、パッチを見つめてぶつぶつと呟き出した。ダンデは静かにそれを見守り、自分が送った物を真剣に考え込んでいるを見てゾクゾクした。
ダンデはの見えない位置にある手を芝生の上に置き、手に力を込めて、自分の内に漏れ出てしまいそうな感情を押さえ込んだ。
(バトルをしてみたい、彼女と…どんな戦略を練って俺に挑んでくるんだろう。他にはどんなポケモンを持っているのかも知りたい。ヤローのように容赦無く叩きのめすのか、ルリナやカブさんのようにフィールドを支配してくるのか……知りたい、もっと)
ゾワ!っとは寒気を隣から感じ、見つめていた特性パッチから目を離すべきか、思い切って隣を見るか悩んだ。今見てしまえば、止まれなさそうな気がした。
「ダンデさん」
なのに、顔はゆっくりダンデの方へ向いた。
「バトル、しませんか?」
自分から言い出したことなのに、の心臓はドッドッドッと高鳴り出した。自分を見つめる黄金の瞳が、ゆっくり細められ、もう逃げれないと悟った。
「もちろん、喜んで受けて立つぜ!」