第7章 友達
二人はそのまま芝生の上に座り込み、笑いがおさまるとダンデは肩に斜め掛けにしてあるショルダーバックから、薄紫色のリボンがついた紙袋を取り出した。それをに渡すと、目をキラキラさせながらそれを見た。
「俺も忘れてしまう前に、これを」
「わ、ありがとうございます!…開けてみてもいいですか?」
「もちろん」
ダンデの許可をもらったは、ワクワクしながら紙袋の口を止めてあったテープをとった。中を除くと、2つのものが中に入っていた。
「これは…」
袋の中にあったのは、スプレーの様なものと、丸いシールが入っていた。はまずスプレーのラベルを見ると『喉スプレー』と書いてあった。
「喉スプレー!!確かポケモンが音を出す技の威力を上げるものでしたっけ?」
「まだ少し早いと思ったんだが、君のエレズンもいずれ進化すれば使う日が来るだろうと思ってな」
「お店じゃ売ってないやつですよね!!ありがとうございます!!!」
は喉スプレーを隣に座っているエレズンに見せると、エレズンはコテンと首を傾げた。そんな様子も可愛くて、はエレズンを自分の膝の上に乗せ、ギュッと抱きしめた。
「やったね、エレズン!あなたのためのアイテムもらったんだよ!」
「エレレ?」
「うん、これエレズンのだよ」
「…エレ」
エレズンは手渡されたスプレーを回したり、口に入れてみたり、振ってみたりしていた。は「可愛いすぎる」と小さな声をこぼした。
ダンデはとエレズンが仲良さげにしている様子を微笑ましく見守っていたが、あることに気が付いた。
「そういえば、素手でエレズンに触ってるが、毒は大丈夫なのか?」
「へ?」
は突然ダンデにそう言われて、キョトンとした。
「最初はピリピリしましたよ。でも毎日抱いたり一緒に寝てるので、最近全然ピリピリしないなぁ…まぁ私マサラ人なので、これくらいへっちゃらですよ!」
「そうか(つまり…どういうことだ?)」
サラリと平然と言ってのけるに、ダンデは話を流したが、頭の中は混乱していた。しかし普通にエレズンに接している彼女に、ダンデはが逞しい女性だと思うことにしておいたのだった。