第7章 友達
はハラハラしながらダンデを見守った。
(なんでよりによって一番辛いやつ当てちゃうかな…)
赤いポフレはリザードンのためにと、あえてマトマの実を使ったものだった。マトマの実はきのみの中でもすごく辛く、普通の人間が口に入れていいレベルではない。逆にモモンの実は甘く、は少しでも辛さを中和してくれると思いついたのだった。
水筒をダンデに手渡すと、ダンデはモモンの実をかじるのをやめ、水筒の水をゴクゴクとほとんど飲み切ってしまった。
「………はぁ、辛かったぜ」
ふぅ、と息を吐くと、ダンデは額に浮いた汗を手で拭った。そして残りのモモンの実を食べ尽くすと、心配気に自分を見ているに力なく笑いかけた。
「もしかしてさっきの…リザードン用だったかな?」
「そうですけどぉ…ダンデさん大丈夫ですか…?」
「君の咄嗟の判断で助かった。こんなにモモンの実が美味しいって思ったのは初めてだ!」
「こっちは心臓に悪かったですよぉ」
はグッタリとその場で力を抜き、はぁと大きなため息をついた。
疲れ気味のを見て、ダンデは悪いと思いながらも、先ほど必死に自分を助けようと奔走するの姿を思い出し、頬が緩んだ。
「あんなに必死にきのみを落とそうと木を揺する人は初めて見た」
「それ恥ずかしいので言わないでください」
「はは、すまない」
「一応、箱の内側に味のメモ貼ってあったんですけど」
「…見てなかったぜ」
はやっぱりと思い、呆れてダンデを見た。
ダンデはまだ頬を緩めており、二人でしばらく見つめあっていると、ジワジワと笑いがこみあがてきた。
「…フフッ、さすがのチャンピオンでもマトマには勝てませんでしたか」
「リザードン級に辛かったぜ」
「次はマホミル級にしときましょうか?」
「…そこはダイオウドウ級だろ」
「えー」
はいじっぱりなダンデの一面に呆れつつも、だんだんおかしくなってきて笑い出した。
「アハハ、ダンデさんってそこで意地はるのめっちゃ面白い!」
「チャンピオンだからな」
「それ関係あります?」
は笑い涙が出始め、指でそれを払った。ダンデも段々に釣られて笑い出し、二人の笑い声は林に響き渡った。