第7章 友達
(珍しいアイテムに飛びつくなんて…私も私だけど、ダンデさんもずるいこと考えるんだな)
は2日前の出来事を思い出し、ジットリとダンデを見たが、ダンデはそんなことに気付くことなく、自転車のカゴに収まるエレズンに話しかけていた。
「俺を覚えてるか?この間俺に電話してくれただろ?」
「エレ?」
エレズンは首を傾げてダンデを見ていた。
どうやらエレズンは二日前のことをすっかり忘れている様で、ダンデは眉を少し下げて残念そうだった。
その様子には笑いを堪えた。
「ダンデさん、そろそろ行きましょうか」
「ああ、そうしよう」
ダンデはエレズンから視線を外すと、ウキウキしている様子が見てとれた。
「今日は木漏れ日林にも行きたいので、そっちに行っても良いですか?」
「かわないぜ、君に任せる」
じゃあ出発だ、とは自転車を押して進んだ。なぜが待ち合わせ場所をここにしたかというと、ダンデのリザードンが目印にしやすいと思ったこと。
そして今いる見張り棟跡地から木漏れ日林まで歩いて30分ほど。ナックルシティには逆方向だが、万が一他の人にダンデが見つかり、あらぬ事をSNSで拡散されるのを避けるためだった。
どうか無事に今日が終わります様にとは願いつつ、隣で機嫌よさげに森を見つめているダンデを見て、楽しんでくれたらいいなとも思った。