第7章 友達
(二日前)
『君の話を聞いていたら、俺もワイルドエリアに行きたくなってきたな』
「…へ?」
は耳を疑った。
ナックルシティへの旅路を話していると、ダンデは突拍子もなく言ったことにはハッと気が付き、すぐに謝罪の言葉を言った。
「ごめんなさいっ!ダンデさん忙しくて中々時間が取れないのに私…自慢しちゃったみたいで…!」
『いや、決して君が自慢したとかじゃないんだ!君が楽しそうに話すから、懐かしくなって』
(結局そう思わせたのは私のせいじゃん!!あ〜私のばか!あほ!おたんこなす〜!!!)
少し罪悪感を感じ始めたは、どうダンデと話していいのか分からず、どうしようと焦り出した。
すると、電話越しから「そうだ!」と、ダンデが声をあげた。
『俺もワイルドエリアに連れてってくれないか?』
「…は(連れてって?) え、でもダンデさん休み取れるんですか…?」
『スケジュールを見ないとわからないが、オフィスに戻ったら確認する』
「ほ、本気ですか…?」
『ああ!それにローズ委員長に君と一緒だと言えば許可してくれる!』
(あ、本気と書いてマジと読むやつの本気出してきたよこの人…)
は薄寒さを覚えた。きっとダンデのこの提案が通るだろうと、未来予知が使えるはずがないのに、この瞬間は確信を得た様な気がしていた。
『…やっぱり、急だったか?』
先ほど楽しそうに話していたダンデは静かに、そして少し寂しげに訪ねてきた。
そしての心には更に罪悪感が募り、「いいですよ」と口に出そうになるのを必死に抑えた。
「うっ…いや、別に…急じゃ…(誰だこんな手をダンデに教えたのわ!ローズさんか?!!そもそもまだ一緒に行くって言ってないし!)」
『お礼に珍しいポケモンのアイテムを持っていくと約束する』
「ぜひ行きましょうダンデさんっ!!」
気がつくと、は口走ってしまった口を手で塞いだが、もう後の祭りだった。
(あ…しまった…)
『いい返事が聞けてよかった!オフィスに戻ったら、空いている日を君に送ろう』
はやっちまった…と思いながら、「はい」と返事をし、すっかりご機嫌なダンデに「やっぱり嘘です」とは、到底言えなかった。