第7章 友達
カブさんとの試合から二日後、ヤローさん、ルリナ、カブさんに見送られて、私はワイルドエリアの『見張り棟跡地』に向かっていた。なぜなら…
丘の上にある見張り棟の跡地で、晴れた景色を嬉しそうに眺めるチャンピオンがいるからだ。普段というか、ゲームでも見せたことのない私服姿のダンデに、猿叫しそうになった。
私が自転車を引いてゆっくり丘を登っていくと、こっちに気が付いたダンデが振り向いた瞬間、キラキラ輝く菫色の髪がスローモーションの様に流れて見えた。
予定より少し早めにポケモンセンターを出たのに、ダンデはいつからここにいたんだろう。
「おはようございます、ダンデさん」
「おはよう、。今日は俺の我儘に付き合ってくれてありがとう」
「いえ、こちらこそダンデさんの貴重な休みを私に使ってくれてなんといえばいいか…」
「いいんだ、俺がそうしたかったんだ」
フワっと笑ったダンデの笑顔に、私は耐え忍んだ。こんなことをサラッといえてしまう天然タラシめ…(このスマイルで何人落とされたことやら…)。
そもそもなんで私がこんなお忍びデートみたいな(重要なのでもう一回いうけど、デートじゃないからっ!)、ダンデとワイルドエリアで待ち合わせをしているのかというと、それは二日前のこと________。