第2章 推薦状
テレビ画面に映る自分が、ハッサムに指示を送っているところで一時停止になっているのをは最悪だと思った。
(うっかりしてた。ガラルの人達ってロトムスマホの普及率高かったし、ポケッターとかにすぐあげられるんだった…)
テレビ画面からローズに視線を戻すと、人が良さそうな顔でこちらを見ていた。は冷や汗をかきながらも、どうして自分のような、ただ引ったくりを捕まえた海外のトレーナーをここに呼び出したのか。
ローズという人物は、ゲームの中でも侮れないキャラだと思い出し、は慎重になりながらも話を進める覚悟を決めた。
「そうです、私です」
「そう硬くならないで。別に君を咎めたくて呼んだんじゃないんだ。私からもぜひお礼を言わせてほしい。ガラルでこのような悪事があってほしくないからね。それに、取り戻してくれた書類は実は今度私に必要なものだったんだよね」
「そ、そうだったんですか」
「君のおかげで彼女のポケモンも無事だった。これは彼女から君へのお礼だと預かってるんだ」
ローズは自分のワークデスクの上に置かれた真っ赤な紙袋を、のテーブルの上においた。はチラリと置かれた紙袋に目を向けると、中には高級そうな箱が入っているのが見えた。
「あ、ありがとうございます。ローズさん、その、不躾ですが、この方にお礼を伝えてくださると嬉しいです・・・」
「あぁ、ぜひ伝えておくよ」
ローズはチラリとオリーヴに視線を送り、彼女はコクリと小さく首を頷かせた。
は一口紅茶を飲み、カップをテーブルに戻した。
そして真っ直ぐとローズを見据えて口を開いた。
「…それで、ローズさんは私に他に何かご用があったんじゃないですか?」
「どうしてそう思うのかな?」
「キバナさんが今朝言ったことを思い出したんです。”やっぱりここにいた”って。まるで私があそこにいた事がわかってた口ぶりです。そしてここまで送り届けてくれた。こんな事、忙しいジムリーダーにお願いするのはちょっとおかしいかなって…って、私の考えすぎだったらすいません」
先ほど紅茶を一口飲んだというのに、は酷く喉が渇いたような、緊張が走った気がした。