第6章 ジム巡り
【キバナ目線】
今日も俺は日常の一部となったトレーニングに励んでいた。
ポケモン達のコンディションも毎日チェック、ジムトレーナー達の育成もしつつ、俺は俺の課題をこなす。
ちょうどランニングマシーンで走り込みを終え、休憩がてらスポドリを持ってジムの中を歩いていると、ジムトレーナーたちの声が聞こえてきた。
その声に釣られ、俺はリョウタ達に声をかけた。
「おっす、お前ら。何見てるんだ?」
「キバナさん!ちょうどよかったです!ほら、見てください!」
リョウタは自分の持っていたスマホを俺のほうにむけた。
そこに映っていたのは、ルリナと戦っているのライブショーだった。
「あいつ、もうルリナのとこかよ」
画面にはこの地方にはいないポケモンが、サシカマスの渦潮を避けているところだった。
みんなが見えるように俺はリョウタ、レナ、ヒトミの後ろに回り込んで四人で見えるようにした。
「すごい、このポケモンちゃんと指示通りに動いているけど、避けるのが限界なのかしら」
「どうして一気に放電を放たないんだろう・・・他の技を使わないのか?」
「・・・いや、待ってるんだ、こいつ」
ジムトレーナー達が、のバトルを観察して意見を出していると、俺はがどうして攻撃せず避け続けているのか注意深く見ていた。
そしてサシカマスの渦潮があちらこちらに放たれ、フォールドはびしょ濡れだ。
「はめられたな、ルリナのやつ」
「え?」
俺はそろそろだろうと思っていると、スマホの画面が眩しく光り出した。俺の予想通り、サシカマスはフィールドの上で麻痺していた。
「フィールドを・・・全体的に濡らして、放電の域を増やしたんですね」
リョータは静かにそう言った。
「それもそうだが、お前ら見たか?こいつの動き」
俺がそう言うと、6つの目がこちらに一斉に向き、そしてまた画面に戻った。
「このポケモン、一切後ろを向いてなかった。サシカマスの攻撃は全部後ろからのみ。普通だったら不安で後ろを振り返るくらいしてもいいはずだ。なのにそれが一切ねぇ・・・ヤローの時のハッサムもそうだ、こいつら後ろを全部トレーナーに任せてるんだ」
俺がそう言うと、ジムトレーナー達の誰かがゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。