第6章 ジム巡り
迫り来るダイストリームに、ドラピオンは大きく真横に飛んだ。
ダイストリームはドラピオンの真横スレスレを通過し、地面に当たった大量の水がへ押し寄せた。
それに気が付いたドラピオンが振り返ったが、は声を張り上げた。
「行け、ドラピオン!!振り返るな!!!」
「っ・・・ドラ!」
ドラピオンは一瞬戸惑ったが、の指示通りガジリガメに向かって走り、自分の両手をクロスさせ、力をため込んだ。
ダイストリームの水が自分に押し寄せ、少しの恐怖を感じつつも、先ほど自分の盾になってくれたドラピオンをこれ以上迷惑をかけたくなかった。
(私はダイマックスバンドを持っていないから、みんなをダイマックスさせてあげられない・・・なら、私だって耐えてみせる!)
自分の膝を曲げ、迫り来る水の波には耐えようと構えた。
そして自分の胸部にまである水がに襲いかかり、吸い込んだ息を止めた。
耐えようとしていた体はあっけなく後ろへ流され、フィールドの壁に押しつけられた。しかしはすぐに意識をドラピオンに向けた。
(ドラピオン!!!)
ドラピオンはもうガジリガメの目と鼻の先だった。
ドラピオンが打ったクロスポイズンは、大きな音を立ててガジリガメの顎に当たった。
その直後、ガジリガメはその場で大爆発を起こし、大きかった体がだんだん小さくなっていた。そして、ガジリガメはピクリとも動かず、その場で目を回していた。
『・・・ガジリガメ、戦闘不能!よってこの勝負、ジムチャレンジャーのの勝利!』
レフリーの放送がスタジアム中に響くと、今まで静かに見守っていた観衆の声がドッとわき、は壁に背をつきながらずるずるとその場に座り込んだ。
「はは・・・どんなもんだい」
緊張が一気に溶け、こっちに帰ってくるドラピオンに手を振った。
ドラピオンは呆れつつも、座り込んでいるの体にハサミを挟み込み、持ち上げて立たせてくれた。
「ありがとう、ドラピオン!やっぱり頼りになるね!」
「ドラ」
ニカっとが笑うと、ドラピオンはやれやれと言った感じな態度をとったが、頼りになると言われ、内心嬉しく感じていたのだった。