第6章 ジム巡り
(あのダンデがバトルをしたい思っている・・・そしてキバナさんも警戒しているこのトレーナー・・・さん、あなた何者なの?)
今も尚サシカマスの渦潮を避け続け、どのタイミングで放電を放つかを待っている様なに、ルリナは冷や冷やしながらも、どこかバトルを楽しんでいる自分がいると思った。
「シビルドン、そこで止まって!」
ここまでずっと避け続けていたシビルドンに、は急に止まれと合図した。シビルドンはその通り止まると、少し乱れた息を整えようとしていた。
「サシカマス、最大威力で渦潮よ!!」
ここだとばかりに、ルリナはサシカマスに指示を出した。
シビルドンの後ろを取り続けたサシカマスは、これまでで一番大きな渦潮をシビルドンの背後から打とうとしていた。
「放電!」
シビルドンに放電の指示を飛ばすと、シビルドンはずっと自分の中に溜め続けたありったけの電気を放った。
またもやスタジオ中が明るくなり、先ほどよりも強い光にもルリナも目をつぶってしまいそうだった。
「渦潮をぶつけて、サシカマス!」
ルリナは危険を感じてサシカマスに指示すると、サシカマスは一気に渦潮をシビルドンの背後めがけて投げ放つと、放電と渦潮がぶつかり合い、二つは同時に大きな音を立てて相殺された。
「ギャママママママ!?!?」
すると、突然サシカマスの悲鳴がスタジアム中に響き渡った。
「どうしたのサシカマス?!」
視界が戻り、ルリナがサシカマスを見ると、サシカマスはフィールドで倒れていた。なんとか起き上がろうと、アクアジェットを出そうとしてもがいているが、ビリビリ痺れる体が思う様に動かず、ハクハクと息を乱していた。
そこへ、サシカマスに黒い影がかかった。
サシカマスは影がさす方に目だけ視線をよこすと、そこにはシビルドンがいた。シビルドンはサシカマスを手で抱き抱えた。
「ま、マスゥ・・・」
サシカマスはジッと見つめてくるシビルドンに恐怖を感じた。
そして、シビルドンは躊躇なくサシカマスに噛みつこうと、その大きな吸盤のついた口を大きく開いた。
その光景に、ルリナはゾッとした。
観客たちも息を呑む様にその光景を見ていた。
「ダメだよ、シビルドン!離してあげて!」