第6章 ジム巡り
エレズンに二匹を紹介した後、エレズンはボールの中に全く戻る気はなく、ずっとの足に引っ付き虫状態だった。
なんとか外に出て、自転車の前まで来た。
「わかった、わかったからエレズン。ボールには戻さないから、足から離れよう?」
「エレ・・・」
「・・・心配しなくても、置いてかないから」
不安げに見上げるエレズンに、はよしよしと頭を撫でた。
しばらくスンスン鼻をすする音が聞こえたが、足元から少しずつ力が抜けていき、はエレズンを抱き上げた。
「ほーらここがあなたの特等席よ」
自転車のカゴにエレズンを入れると、籠の淵をギュッと握り込んで、きゃっきゃっと嬉しそうにはしゃぎ出した。
「走ってる時は、揺らさないでね」
「う〜!」
は自転車に跨り、家の前で立っている育て屋の女性に頷いて見せた。
「ジム巡りが落ち着いたら、また伺いにきますね」
「はい、いつでも来てください!エレズンも、元気でね」
「エレ〜!」
育て屋の女性は、エレズんの頭を撫でると、エレズンは嬉しそうに声をあげた。
そしてとエレズンは育て屋を後にした。
が後ろ髪を引かれる思いで自転車を前に進めたが、エレズンが自分と行くと決めたこと、オーキド博士との会話で、全力でサポートすると言ったこと。
(この子と、あの女性のためにも、頑張らなくちゃ)
気持ちを引き締めて、は5番道路を突き進んだ。