第6章 ジム巡り
「最初はいい子にしてました・・・でも、最近になって気が付いたと思うんです。隙を見て外に出る様になったのも、多分そのトレーナーを、探していると思うと・・・っ」
ブリーダーの女性の目はだんだんと潤み出し、涙がこぼれそうになると、手でそれを擦った。
「・・・そのトレーナーは、どんな人ですか?」
「? 男性の方ですが・・・パンクロックな格好が印象出来でした」
女性のブリーダーはそう言うと、は背負っていた鞄を下ろし、中からノートと鉛筆を取り出した。
「もう少し特徴を言ってもらっていいですか、描きますので」
「えぇ?!」
はさぁ、と言わんばかりに女性を見ると、女性はビックリしつつも、特徴を述べていった。は言われた通りに絵にし、時々女性に確認をしてもらいながら描きあげた。
「銀髪に、前髪に黒髪の一房。青い目。眉ピと耳にも複数のピアスで、人生クソ舐めきった顔ヅラのこの男ですね?」
「あ、はい・・・そんな感じです(すごく、ゲス顔にされてる・・・)にしても、絵がとても上手なですね!まるで警察にいる人物画を描く方みたいでした!」
「いやいや、昔から絵を描くのが好きだったので(こんな時オタクで良かったって思う!私ありがとう!!)」
は自分が書き上げた絵をもう一度見ると、眉間にシワを寄せた。
「このエレズン、私にいただけませんか?」
自然と言葉が溢れた。
ブリーダーの女性は一泊遅れて驚きの声を上げた。はノートを女性の前に突き出した。
「私がこの子を育て上げます!このゲス野郎を見つけ出して、お灸を据えてやります!!」
「(お灸据える所の顔してませんよ?!)私はこの子が幸せになれるなら・・・お願いしてもいいですか?」
「私が世界一幸せにします!」
ふんす、と鼻息荒くは言うと、エレズンを見た。
「エレズン!私と行こう!」
「・・・エレ?」
「私、あなたと旅がしたくなっちゃった。一緒にこない?」
はまたエレズンに目線を合わせる様に腰を曲げ、真っ直ぐに見つめた。