第6章 ジム巡り
エレズンを乗せて自転車で進んでしばらくすると、育て屋の家が見えてきた。家の前には人があり、何かを探すような仕草が遠くからでも見てわかった。
は声を上げて「すいませ〜ん!」と叫んだ。その声に気が付いた人物は、の方を見ると、慌ててこっちに走ってきた。
「そのエレズン!あなたのですか?!」
いかにもブリーダーの様な格好をした女性は、切羽詰まった様ににエレズンの事を尋ねた。
「少し前に見つけたんです。この辺じゃ見かけないポケモンだと思ったので、育て屋さんに聞いてみようかとここまで来ました」
「そうですか・・・私が目を離した隙に逃げられまして・・・ご足労おかけしてすいません!」
ブリーダーの女性は申し訳なさげに頭を下げた。
「バウタウンに向かう途中だったので全然平気ですよ。よかったねーエレズン、お家に着いたよ」
「・・・う〜!」
はエレズンに話しかけると、エレズンはブリーダーの女性から顔をそっぽを向け、ギュッと自転車のカゴにしがみついた。
「エ〜レ〜!!!」
「あー・・・」
「さっきまであんなに機嫌がよかったのに・・・」
イヤイヤと首を振り、絶対に籠から出るものかとエレズンは泣き叫び、は慌てて自転車から降りて停めた。エレズンの前まで来ると、視線を合わせる様に腰を曲げて、顔を覗き込んだ。
「自転車気にいっちゃった?ずっと楽しそうだったもんね、もうちょっと一緒に乗ろっか?」
「あ・・・あの、トレーナーさん、実は・・・その子は・・・」
がエレズンをあやしていると、ブリーダーの女性は言いにくそうにに話しかけた。は姿勢を元に戻し、ブリーダーの女性を見ると、女性は目線を下に向けていた。
その様子を見たは、あまり考えたくないと思っていた事が当たったとわかり、ソッと女性の方に手を乗せた。
「・・・捨てられたんですね、この子」
「・・・・・・はい。数日前に卵を引き取りに来た方が、この性格のエレズンはいらないと・・・置いていかれたんです」
「・・・」
「それから私が面倒を見ていたんですが、この通りです」
女性は悲しげにエレズンを見た。
は口を真一文字に結び、フツフツとした怒りがお腹の中から湧き出した。