第6章 ジム巡り
『じゃあ、次のジム戦も頑張りますね』
「あぁ、君の試合楽しみにしてる」
『ありがとうございます。それじゃ』
「、その・・・」
『はい?』
「・・・また勝ったら、教えてくれないだろうか」
『え?いいですよ』
「そうか。楽しみにしてる」
『は、はい・・・っ。あ、じゃあ私そろそろ行きますね!』
ブツリ、と電話が切れた。
ダンデは手に持っていた携帯を仕事用のテーブルに置くと、はぁと一つため息をついた。
座っていた体の上半身のみを、書類のない位置に折り曲げ、ひんやりしたテーブルが熱の灯った頬を取り除いてくれて、心地よく感じた。
(勢いで電話してしまった・・・)
今日はたまたま仕事の休み時間との試合時間が被り、ライブ配信で見る事ができたダンデは、真剣にその様子を見ていた。ライブが終わり、書類の整理をしばらくしてた時に、からの初めてのメッセージが届き、気がつけば通話ボタンを押していた。
(それにまたメッセージを送ってほしいなんて・・・別にそんな事言わなくてもよかったんじゃ・・・)
ダンデは自分が先ほど言った事を思い出し、少しの後悔を感じつつ、またからメッセージが送られてくると思うとフワフワした気持ちになった。
話した時間はほんの数分だったが、自分の機嫌が電話をする前より良くなっているのをダンデはわかっていた。
(次はどんなポケモンでルリナを攻略するんだろうか・・・今日はハッサムしか出していなかったが、やはり強い。ヤローは公式戦のポケモンを使っていたとはいえ、ダイマックスをしていた。相性もあるが、技を受けたのに全く弱っていた様子もない)
ダンデは目を閉じ、とヤローの試合を思い出していた。
(早く戦ってみたいが・・・こればっかりはチャンピオンカップを勝ち抜いてもらうしかない・・・今年もキバナが勝ち上がってくるのか、それとも)
そこで考えるのをやめ、ダンデは体を起こした。
そして部屋の窓に目を向けると、そこには青々とした空が見えた。
(・・・誰が来ても、俺は勝つ)
来るその日が来るのを、ダンデは早く来いと願い、まだ残る書類に手をつけた。