第6章 ジム巡り
ジム戦も終わり、は地上絵のある丘へ来ていた。携帯ではなくカメラで数枚の写真を撮り、納得のいく一枚が撮れて満足した。
そして携帯でメッセージを送ろうと、近くのベンチに座って考えていた。
「えーっと・・・最初のジム勝ちましたって送ればいいのかな?いやでもちょっと硬い気も・・・」
悩んだ挙句、文を少し足して送ることにした。
『こんにちは、です。
今日は最初のジムに勝ちました。
お仕事頑張ってください。』
携帯の画面を消し、鞄の中にしまった。
今日のご飯はどうしようかと考えていると、さっきしまったはずの鞄から、携帯のバイブ音が聞こえ、慌てて携帯を取り出して画面を見た。
「は???な、なんで電話で返してくるの?!」
画面に表示された名前を見て、はやはりメッセージなど送るんじゃなかったと少し後悔した。しかし携帯のバイブ音は止まる気配はなく、渋々通話のボタンを押した。
「(耐えろ私の耳)・・・はぃ、もしも」
『!!』
キーーーンと耳に響く大声に、は携帯を耳から遠く離した。
『ライブで見てた!やっぱり君のハッサムは強いな!』
距離を取ったままなのに、携帯からは興奮冷めやらぬ声が漏れ、は呆れながら少しずつ耳に携帯を近付けた。
「ダンデさん、そんな大声じゃなくて聞こえてますから」
『ん、すまない。君からまさかメッセージが来るとは思ってなくてつい』
「(最初の”ん”のエロさよ)番号もらいましたから・・・」
『君のことだから、メッセージも送らないと思ってた』
「そこまで薄情じゃないですよ。というか、試合のライブってなんですか?」
はダンデが発した”ライブ”という言葉に嫌な予感を感じた。
『・・・知らないのか?ジムチャレンジの期間中の試合は、ライブや動画で見れるようになってること』
「じゃあ・・・ガラル地方のほとんどの人が私のこと」
『注目されているトレーナーであれば、君をマークしているライバルも現れるかもしれない。あと自分の試合を振り返ることにも使えるし、どう捉えるかは君次第だ』
「(目立たず行こうと思ったのに)そ、そうですね・・・振り返りは大事ですよね(涙)」
『そうだな!』
やけに明るく聞こえるダンデの声が虚しく耳に響いた。