第10章 春が来りて 前編 お相手:冨岡義勇
フワッと突然
抱きかかえらえてしまって
みくりが目を丸くしていた
「ぎ、義勇さんっ、降ろして下さい
私、歩けますから」
「……それは、出来ない」
「へ?何でですか……?」
「みくり、湯の用意はできているか?」
「え、あ、はい!
お戻りになると言われてたので……」
はっとみくりが何かに気が付いて
「あ、でももしかすると、
沸きすぎてるかも知れませんっ!」
「熱ければうめればいいだけだ、
冷たくなければいい」
「あの、義勇さん」
「どうかしたか?みくり」
「その、お湯を使う前に……
口付けとかは……?」
「それは、できない」
ハッキリと否定されてしまって
みくりが悲しそうな顔をする
「しないとは、言っていない」
「え、だったら」
口付けをしてもらえるのかと期待していると
「今したら、
湯を使わせてやれなくなるが…いいのか?」
「え?それは一体どう言った……」
男と言う物が
どんな物なのかまるで
わかってない物言いだな
まあ 仕方ないが
そのまま抱きかかえられて
風呂場まで着くと
みくりを床にそっと立たせて
「洗うか?」
「いや、いいです。
自分でできますので……義勇さんは先に」
チュッと義勇が
みくりの額に口付けをして
「ああ、待っている」
そう言って柔らかい笑みを浮かべた
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書き始めていつもなら
最後まで書けている行数書いても
まだ裏が始まってなくて、まずいってなって
これは前後編にしようと思ったやつ。
もしかすると、前後編とかで
中編とかも今後出て来るかもです。