第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
翔が見回りをしてゲルに戻ると
ゲルの隅でぶつぶつと言いながら
悠斗が壁を向いて三角座りをしていて
「って、お前っ何やってんだァ?」
「わぁあああんっ。翔兄ぃ~」
悠斗が翔に抱き着いて来て
それを引きはがそうとするも
自分からはがすにはがせずに居て
コイツ身体の線 細っこい
くせに何つぅー力してんだよ
「こらっ、離せェ。悠斗ォ
お前突然に、どうしやがったんだよ。
お前、顔が女顔だから許されけど。
お袋と同じ顔してなかったら、
ブン殴ってる所だしよォ。相当
お前気持ち悪いぞ?どしたァ?」
「だって、夫婦になるって事は
あの2人も当然ッ、その夫婦のっ」
ああ その事かと
翔は悠斗のその様子で悟ったが
てか コイツが妙に冷静だったのって
すっかり頭にソレ無かったからかよ
昔っからコイツはどうにも
抜けてるんだよなぁ
「後宮の女なんざァ。子供作るのが
仕事だろーがよ?世継ぎが産めねぇなら
返品されっぞ?それが王家の妃の務めだァ」
めそめそとしている悠斗の頭を
グシャグシャと翔が
乱暴に撫でて
「でもぉ…だってぇ」
「女々しい奴だなぁ、飲むかァ?」
そう言って翔が
その辺に転がっていた
誰が使っていたのかも分からない
アルヒの碗を拾って
悠斗の手に持たせると
ピッチャーに入っていたアルヒを
ドボドボとなみなみになる位に
碗に注いだ
「飲めェ、んで、忘れろォ」
バシンと今度は平手で
力いっぱい悠斗の背中を叩いて
「痛っ!何するのッ翔兄ィ。
酷くない?可愛い弟にさぁ」
「俺ァ、お前が一番可愛かねぇよ。
うだうだ言ってねぇで、飲め。俺も飲む」
そう言って自分も
近くにあった もう一つの碗に
ドボドボとアルヒを注いで
悠斗が飲むより早く
その中身を飲み干した
「妹の幸せを、兄貴ってもんは、
願ってやらねぇとなァ」
「そんな事、翔兄に
言われなくても、知ってるし
分かってるよ…」
こうして 夜が更けていく
段々と東の空が白んで来て
夜明けを運んで来て居た
その頃には ゲルの中は
寝息に包まれていて
ふと目を醒ますと
何も掛けずに
翔と悠斗が寝ていたので
みくりが部屋の隅にあった
毛布を2人の身体に掛けた
「風邪引いちゃうよ、お兄様達」