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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第36章 聞こえない音  お相手:宇髄天元




今日も……聞こえる

ある屋敷の前を通りがかって

宇髄はその足を止めた

その大きな洋館の二階の
開け放たれた窓から

たどたどしいピアノの音が聞こえていた

ピアノを弾いている主は

随分と律儀な性格らしく…


その音は決まって…いつも同じ時間だ


吉原に定時報告を受けに行くから

俺もいつも…ここを通りがかる…


毎日 きっかり同じ時間に


聞こえる 曲も…2ヶ月前に聞いた曲と


ずっと同じ曲ばかりだ


「随分と…まぁ、派手に
物好きな奴だなぁ、この音の主さんはよ。
毎日毎日、地味に同じ曲ばっかで、
飽きねぇのかよつーの。
こっちはその曲、聞き飽きたし?」

だが ひとつ 引っかかる事がある

2ヶ月前に ここを同じ様にして

通りかかった時よりも

少しずつ そう 少しずつ

ピアノの練習をしてんのに

上達するってぇなら 俺にもわかるが

何か コイツ 下手になってね?


違和感を 感じたのだ……その


ピアノの音に……



宇髄がその洋館の下で足を止めて

その開かれた窓の下から

上を見上げると


その開け放たれた窓の

その向こう側の音に

自分の耳を澄ませて

意識を集中させる…耳から入る音から

その室内の様子が脳内で構成されて行く


どうやらそのピアノの主は

若い女…の様だったが


その奏でるピアノの音は…まるで


ピアノを憶えたての子供が
弾いているかの様な

そんなたどたどしさを感じる

そんな 拙い演奏なのに


どうして… こんなにも

この 不安定な音は……心地よく

響くのか 宇髄本人にも不思議でならなかった


「っと、やべっ。
こんな事してる場合じゃねぇ。
定時報告の時間に遅れちまうじゃねぇかよ」


その洋館の前に
あった宇髄の姿は


一瞬にして その場から消えていた


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