第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
第4夜
無能な侍女は爪を隠すのか?
次の日の朝…になる前に
杏寿郎が言っていた通り
彼は夜明けの前に
ここを後にして自室に戻っていた
朝になると侍女が私の
支度を整えに来て
「では、こちらを…お召しください」
そう言って
こちらに差し出して来たのは
普段 後宮の妃達が纏うドレス
よりも数倍も動きやすさを重視した
スカートに近いラインを
しているがズボンになっている物で
すっきりとしたシルエットをしていた
そう言えば…昨日の夜に
朝に道場に行こうと…杏寿郎から
言われていたのを思い出した
「お召しかえが終わりましたら、
ご案内をする様にとスルタンより
仰せつかっております」
そうみくりに対して
深く頭を下げながら侍女が言った
「案内は……、大丈夫。
後宮の内部ならある程度知ってるから」
スルタンである杏寿郎が
元々は歌会とかをする為の
庭を潰してその土地に作った
自分が鍛錬を行う為の道場だ
武芸一般に秀でているだけの事は
あってその道場はあらゆる武芸の
稽古が出来るようになっている
案内しろって言う話だったから
朝の鍛錬でもしているのだろう
幾つかの建物を彼の姿を探しながら
歩ていると
建物の間の広場で
三節棍の稽古をしている人の姿を数人見た
ぼんやりとその隣を通り過ぎようとして
ふと 足をみくりが止める
今……動きが違う人が居たな…
足の運びの音…全然周りの人と違う
「俺はここだが?俺は無視か?」
その声を聞いて
さっきの動きが一人だけ違う人が
杏寿郎だったのだと気が付いた
「スルタン様は、三節棍の
才能もおありなのですね……」
「そう言えば…、剣術は苦手だと
君は言っていたか……なら、
これはどうだ?」
そう言って 自分の手にある
三節棍をみくりに向けて
掲げて見せる
「まぁ、剣よりは幾分かは
マシな程度ですが……?」
「そうか。なら…見せてみろ」
そう言ってこちらに向かって
自分が持っていた三節棍を投げて来て
みくりがそれを受け取る
三節棍は間接のついた
3本に継ぎ目のついた 棒だ
鎖の短いヌンチャクが3つ
連なった様な形と言えば
わかりやすいかも知れない
その特徴的な形状から…
扱いが難しい…とされている武器だ
「あの…、此方の人達は?」