第34章 眠れぬ夜には…… お相手:煉獄杏寿郎 ※裏なし
「しなくていいです。もう、
ちゃんとひとりで眠れそうですから。
落ち着きましたから、師範は
ご自身のお部屋にお戻り下さい」
そう言って自分の部屋に
そのまま居座りそうな勢いの
杏寿郎に部屋から出る様に促した
「むっ。それは…あんまりじゃないのか?」
「もう、雷……止んでるじゃないですかっ!」
不満気な様子の杏寿郎に
みくりがいつもよりも
口調を荒げながら言うと
にやにやと不敵な笑みを
杏寿郎が浮かべて来て
「そうか……、なら君から俺に
まじないをしてくれたら。
今夜は退散するとしよう。どうする?
君がそうしてくれないのであれば。
俺はこのまま、ここに居座るつもりだが?」
ああ もう
本当に 私は この人には
敵わないとそう思いながらに
いつも いつも
この人のペースに飲まれてしまっていて
そして それを 思いの外
悪くないと思ってるのだから
「もう、師範…今回だけ。ですよ?」
そう 言いながら
杏寿郎の額に おまじないの
口付けをひとつ 落とすと
「また、……雷の降る夜が……あると良いな」
そう名残を惜しむ様に言われてしまって
「もう、またそんな調子のいい事言って。
嫌いだって言ってるじゃないですか、雷」
惜しむ名残などないので
早く自室へ戻りなさいと
言いたげにみくりが返して来て
その つんけんとした態度も
彼女の気持ちも知っているのだから
何も 答えを急ぐ事はない
ゆっくりでいいとそう思いながら
不満そうな顔をしている
彼女の方へ目を向けると
「でも…、師範のお陰で、少しだけ。
ほんのちょっとですけど、雷…
怖くなくなりそう……です」
そんな風に 俺に言って来て
それも 悪くないとそう思いながらに
「なら。決まりだな」
「決まりって、何がですか?」
「君が雷を克服するのを、
手伝おうと言っているのだが?」
雷の降る
眠れぬ夜には…
2人だけの…… 秘密の稽古を…
眠れぬ夜には…
「添い寝と、まじない付きだがな?」
眠れぬ夜には……
そのまじないが原因で… 眠れないとか
そんな事は言ってはなるものかと
みくりは内心考えていた
眠れぬ夜には