第31章 年上の彼女の憂鬱 お相手:冨岡義勇
よしよしと頭を撫でられてしまって
かくれんぼは止めにしたらどうかと
そう促されてしまって
恐る恐るクッションをずらすと
目元だけそこから出してじっと
目の前に居る義勇を見つめる
「教えて…ほしい……、
さっき、言いかけていた事」
そっと頬に手を添えられて
ナデナデと撫でられる強引に
聞き出そうとしない所も
何とも……
義勇さん…らしい…なって
「でもッ…、
はしたない…お願いですの…よ?
わ、……私に、残して……下さいませな、
貴方の…物だと言う、証拠を…」
スッとみくりが自分の胸の中央に
右手の先を当てて
そのままグッと自分の胸に押し当てる
「……残して…、欲しい…ッの。
貴方の…だと、言う…、印が欲しくて。
分かって…おりますのよ?こんな事…
はしたない願いだって事位。でも…
今度…、いつ…、こうして…っ
お出会いがっ…、んん゛っ!!」
みくりが言葉を紡ぎ終わる前に
そのまま義勇に唇を塞がれてしまって
そのまま熱く唇を貪られてしまう
あの穏やかな彼がするとは思えない様な
息も できそうにない位の
熱い…口付けに
頭がクラクラとしてくる
うっすらと目を開いて
彼の青い
深い深海の様な色の瞳が見えて
ああ そうかと気が付いた
溺れる……んだって
彼と言う名の海に
……溺れて行くみたいだって
ギュッと彼にすがりつくと
そのままこちらからも唇を重ねて
そのままお互いの舌を求めあう
「んっ、ふ、
…っ、…義勇…さっ…んっ」
「はぁ、……っ、
はぁ、…みくり…ッ」
でも もう いいや
いいや 考えなくてもいいやって
このまま 彼の熱に溶けて混じって
そのまま 深く
沈んで行ってしまいたい
そう 思えて来て
ああ こんなにも こんなにも
私は 貴方が好きだって事に
気付かされたから
「義勇さんっ、好きッ
……貴方が、好き……」
「俺も、みくりが
…好きだ……。みくり……」