第31章 年上の彼女の憂鬱 お相手:冨岡義勇
可愛いと…言われた憶えはあまりない
なまじ学のある
女性の権利ばかりを謳っている様な
そんな女は……
女の癖に生意気だとか
可愛い気のない女だとか
そう 揶揄するような……そんな事しか
言われた記憶しかなくて
私に可愛いだなんて…言うのは
義勇さん…ぐらい……
「私を……、
可愛いなんて仰る方は
後にも先にも…、
義勇さん…だけですのに……」
そっと彼の手が
私の頬に触れて撫でて行くと
それから指先で私の髪を弄ぶ
自分の指先に私の髪を絡めて手に取ると
そのまま自分の口元へ引き寄せて
口付けを落とした それも恭しく
「みくりは…、可愛い…。
俺はそう、感じている…。可愛い…な。
今だけじゃない。
いつも、…可愛いと、思ってる」
「あっ、あまり…
からかわないでっ下さいませ?」
「恥ずかしい…のか?
可愛いと言われるのは。
なら、…もっと言いたくなってしまう。
みくりは、本当に…可愛い……な」
そう耳元で名前をあの声で呼ばれる
彼に可愛いと言われる度に
自分の中にむず痒い感覚が起こる
彼の声が……耳から入って
その鼓膜を揺らす振動が
そのまま脳を痺れさせていくのを感じる
「ふっ、…ん、ぁ、あっ…義勇さ…んッ」
ぬるりと彼の舌がそのまま
耳の縁をなぞって行って
ゾクゾクと耳の中を快感が抜けて行く
「はぁ、……んんっ…は、……ッ」
「このまま……、抱いてもいいか?」
「さ、先ほど…お好き…と、言いましたのに」
「こうして…触れるのも、久しい…な」
そう言いつつも彼の口付けは
首筋を下っていて
鎖骨の辺りに辿り着くと
鎖骨を舌でなぞりながら
みくりの柔らかい膨らみに手を伸ばす
「ここは…、特に柔い…」
「いちいち、言わなくて
…結構ですのっに、あっん」
着物の上からふたつの膨らみを
彼の手に揉まれればその頂きが
ピンと自己主張をして着物の上からでも
その位置が…
知れてしまうほど…になってくる