第7章 もっと お相手:煉獄杏寿郎
私は先日の任務で
子供を庇った際に
足首を捻ってしまって
今は自宅……と言うか
彼である 炎柱 煉獄杏寿郎さんと
同棲している 炎屋敷で療養していた
家の中の事や 身の回りの事は
炎屋敷の使用人さん達が
してくれるので
私は ほとんど何もせずに
足の痛みが引くのを待っていた
この炎屋敷の主である
杏寿郎さんは 遠方の任務で
もう 6日ほど家を空けていた
3日目に鴉が返事を持って来てくれたけど
そこから先は手紙もない
使用人達も夜間は別の棟に移って休むので
この母屋には 私一人と言う事になる
誰もいないから
話をする相手も居ない
一人寝の夜が来てしまった
昼間に横になっている時に
ついウトウトとしてしまった所為なのか
床に入って 横になってみても
眠気が起こっては来なかった
どうしよう?布団に入って
半刻以上経ってるけど 寝られない
いつもなら隣から聞こえる
杏寿郎の寝息も聞こえないのだ
あ そうだ
みくりが体を起こして
自分の隣の畳んだままになっていた
杏寿郎の布団を広げると
その中に潜り込んだ
布団はそうそうしょっちゅう
洗ったりするものではないし
彼の匂いが残っている
しばらくそのまま潜り込んでいると
布団も温まって来て
それこそ 彼に抱きしめられて
床に就いているような気分になった
ちょっと 嬉しくもなったが
その後逆に 淋しくなってしまった
普段なら そんな事
考えもしないだろう……
いつもなら 自分が仕事で
家を空ける時だってあるのに
自分がこんな風に 気弱になっているのは
それは きっと
自分が怪我をしてるから
不安になるから 余計に
淋しいと感じてしまう
「杏寿郎さんっ、……早く帰って来ないかな」
そうみくりが 漏らすように呟いた