第30章 みじかいおはなし その2 ※裏なし お相手:色々
そのまま 彼に速足で
引っ張られるように通りを歩いて
しばらくした頃に
「満足…したかァ?」
「え?もう終わり……?」
そう
思わず本音を漏らしてしまったら
ギュッとその手を握られてしまって
「お前の手、…温まったら
……そんでいいと
そう思ってはいたが…アレだァ」
「アレ?って…何?」
「気ィ…、変わっちまったァ
もっと……感じたくなっちまった。
お前の体温……、感じさせろォ。
手だけじゃ……、足んねェ」
そのまま 大通りから外れたとは言えど
まばらには人がいる通りで
そう耳打ちされてしまって
顔が赤くなって
さっきまで寒かったはずなのに
自分の芯から熱を帯びていくのがわかる
「不死川…君っ、
あのでもまだ…日も高いし」
「んな事ったァ、
どうでもいいだろうがよ?
今度はお前が俺ん事、温めろォ」
それは温める……になるのだろうか
温かい
なんてそんな
生温いものなんかじゃなくって
きっと それは 熱いくらいの
そんな 時間の予感でしかなくて
温かいでは 生温い
その 熱くて溶けてしまいそうな
そんな 予感に
「…ん。いい…よ」
私はそう 返事を返した
温かいでは 生温い