第29章 可愛い彼の裏の顔 お相手:竈門炭治郎
栗の花の香を思わせる
鼻に抜けていく
独特の香りの濃密さと
何とも表現しがたいえぐいと
言うか苦味にも似た味と
美味しいと舌では感じないのに
美味しい……と感じるのは
私の… 本能的なそんな部分なのかも?
チュウウッ…っと音を立てて
彼の鈴口から残らず
それを吸い上げると
ゴクリ……と喉を鳴らして
みくりがそれを嚥下する
「って、それっ
飲んじゃったんですか?みくりさん」
私の行動が信じられないと
そう言いたげに炭治郎が言って来て
「吐き出して貰っても…良かった
んですよ……?あの……」
私がした行動に対して彼は
恥ずかしそうにしつつも
それでいて嬉しそうでもあるけど
やっぱり それが素直に
表情に出ちゃう所が炭治郎君は
可愛いなぁって
そう思うと自分の胸がキュンと
締め付けられてしまう
ガシッと彼に両肩を掴まれてしまって
その真っすぐ過ぎるくらいに
澄んだあの赤い瞳に見つめられてしまう
「みくりさん!
俺からもしたいです。
俺ばっかり……なのは
ダメだと思うので」
「え、……
でもまだ……もうちょっと」
「みくりさん…の匂い……、
俺から…じゃなくて、まだ自分から
そうしたいってそんな匂いがします」
そう考えている事を
彼に鼻で悟られてしまって
私がまだ彼にしてあげたいって
そう思ってるのを指摘されてしまって
「あ、だったらさ…お互いのを
そうし合う……って言うのは?
多分、私と炭治郎君と身長差がないから
そうするのも……、きっと、
しやすいんじゃないかなぁって」
そうさらっと
みくりが提案して来て
炭治郎は言われた言葉を整理する……
と とんでもない
提案をされてしまったああああっ!
それはつまり……
お互いがお互いの
その 大事な部分をっ……
舐め合う…的な やつの事…だよな?
ゴクリ…と炭治郎が
思わず固唾を飲んで
でも……だ
善逸の持っていた本に
そんなのが載っていた気がするが
俺はちゃんと見てなかったから
あまり良く…知らないんだが
こんな事になるんだったら
もっとちゃんと…
見て置いた方が良かったんだろうか?