第28章 可愛い君に……は お相手:煉獄杏寿郎
ドキドキと 自分の心臓が騒がしい
私はお風呂を済ませて
自分の寝る支度を整えて
布団の上に正座して
彼がお風呂から戻るのを…待っていた
お風呂に入って来るから
待っていなさいと……言われたけど
やっぱり それって
今夜は… するって事…だよね?
彼が部屋を出てかれこれ15分ほど
経ってはいるけど……
こうして 布団の上に座っていても
そわそわとしてしまって
どうにも 気持ちが落ち着かない
彼は……私が働いている食堂の
常連客で…
いつもあまりにも
豪快に食べる人だなぁっとは
思っていたんだけど
店に来ていた酔っ払いに絡まれているのを
杏寿郎さんに助けてもらってから
交際をする事になったのだけども
杏寿郎さんは
ちょっと特殊なお仕事をされていて
休みらしい休みが長く取れなかったり
一度 任務に出てしまえば……
数日家を空ける事が多い
そう 今日だって
3日間のお仕事から戻って来た所で
私は……彼が忙しい合間にでも
私と過ごす時間を取りたいと
大声で両手を握って押されてしまって
断る事ができずに
その勢いに負けてしまって
交際を始めてすぐに
杏寿郎さんの住む この炎屋敷……と
呼ばれているお屋敷で
厄介になっている
彼が言うには
結婚を前提とした同棲……らしいが
私からすれば……
囲われて……る?養ってもらってる?
様にも感じられなくもないけど
いや 結婚を前提としているのなら
囲うと言う表現は些か語弊があるか
「みくり。考え事か?」
いつの間にか後ろに杏寿郎さんが居て
「きゃっ。いつの間に……お戻りに?」
音も気配もなく自分の背後に
杏寿郎が居たことが不思議だとでも
言いたげにみくりが杏寿郎の顔を見ていて
「君は…、寂しかったか?
俺が家を空けて留守にしている間…、
いい子にしていたか?」
「いい子って、
私はそこまで子供じゃありませんよ?
留守番ぐらい……、ちゃんとできます」