第119章 夫婦でおもてなしをしよう!前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「思った理由とか…、
多分…私と同じ理由だから…」
奏さんが居なくなった後も
それが出来ずに居た理由が…
私だってそうだったから…
ずっと…待って居たかったから
奏さんの事を
忘れずに居たら
待って居たら…
ある日突然にひょっこりと
帰って来てくれるんじゃないかって…
「みくりちゃん…、私…。
時々不安になる…んです、自分が…
兄との記憶を…少しずつ…
歳月が立つたびに忘れて行く事が…。
居なくなってからの時間の方が…
長くなってしまう頃には……。
私の中から…消えて…本当に…
居なくなってしまうんじゃないかって…」
「それでもいいって、
言ってくれたんだぁ~。
杏寿郎がね、私にね。
凄く凄く大好きな人が居て、
その人の事が今も好きで、
きっとこれから先もずっと好きだから
好きになれないかも知れないよって
だから付き合ったりとかそう言うのも
無理だと思うなって話した事があったんだけどね」
あの頃の…自分には見えなかった事
気がつけなかった事…
今の私には…何となくだけど…
分る気がする…んだ… 奏さん
「雅ちゃん…今ね、
私がここに居るのも…、
雅ちゃんがここに居るのもね、全部…。
奏さんがあの時…私達の事を想って
ああしてくれたからなんだなって。
あの時には…それに気が付かなかったけど。
目の前の現実しか見えなかったけど、
そうなんだろうなって、もう…
会えないんだろうなって思うけど…」
「はい…、みくりちゃん…。
私も…同じ事を…考えて…居ましたので…。
傍に居なくとも…、傍に居てくれる…のですね」
「あっ!!」
しんみりとしていた空気を
みくりの声が一転させると
「どうかしたのですか?みくりちゃん」
「伊勢海老ッ、忘れてたっ
伊勢海老の出汁…ッ、
冷めたら冷蔵庫にって思ってたの。
ちょっと待っててっ、しまって来るッ」
そう言ってみくりが
慌ててテントから出て行ってしまって
昔…あの兄の口から
恋人が出来たと聞いた時に
どのんな女性なのかと私が
兄にその相手の事を尋ねたら
美味しい物を嬉しそうに
幸せそうな顔をして食べるから
自分が知ってる美味しい物を
食べさせたいって思える相手って…
そんな話をしていたのを思い出して
「杏寿郎が冷蔵庫入れてくれてたよ~」