第27章 イレギュラールーティーン お相手:煉獄杏寿郎
口に含んで飲み込んだ
良く飲んでいるカクテルの味に
今ひとつ集中できずにいて
味が分からないでいた
「美味いか?」
「モスコミュールなんて、
どこで飲んでも、決まった味でしょ?」
「飲んで…みたいと言ったら?」
「いいよ、はい」
彼のして欲しいと意図した行動は見えたけど
わざとそれをしないで
グラスを差し出すと
そのグラスを手で押さえられて
そのまま押し返されてしまって
グイっと顎を引かれて
口を開かされると口移しで
口の中に流し込まれた液体が
鼻に抜けて行く芳醇な香りが
濃厚にしたのを感じて
ゴクリと飲み込むと
「って、飲みたいって言ったの、
そっちじゃなかったの?って…、これ。
ロックだったの?ウイスキー、
私が苦手だって、知ってるクセに…」
「ああ、知ってる。
俺は、みくりの彼氏だからな。
君が、ウイスキーが
苦手なのは心得ているが…」
苦手だって知ってる物を
わざと飲ませる
それも強制的に…だ
そんな行動も彼らしくないと
そう感じてしまって
「みくり。何から、聞きたい?」
「うーん。だったら、このホテルの
この部屋にしたのは…理由あったりする?」
いつものホテルにしないで
ここかもうひとつって提案して来た時
おかしいって感じたんだ
彼は初めからいつものホテルじゃなくて
このホテルのもしくは
提案して来た
もうひとつのホテルにしたくて
それも この部屋にしたかった
理由…があったんじゃないかって
「ああ、そうだ。
君が指摘して来た通りに、
俺は最初から今日は…、
この部屋にするつもりだった」
やっぱり…
このホテルの それもこの部屋に
意味があるって事…か
そうここは 所謂コンセプトルームだ
ホテルの外観と合う様な
花が内装になってる部屋は
各グレードにあったけど
彼が選んだのは
真っ赤な情熱的なバラの部屋…
ぱっと室内を見回して…みても
普通のラブホテルの一室で
特別な…何かがある様には……
私には見えないけど…