第25章 みじかいおはなし ※裏なし お相手:色々
その言葉で
この外出の意味を悟って
「あ、あのっ…師範、この外出って…」
「今は、師範ではないだろう?みくり」
そういつもとは違う
恋人同士の時の呼び方で
呼ぶようにそう言われて
「杏寿郎さん…、あの…」
「さて、俺の可愛い恋人は
どこへ行くのがご希望だ?
今からなら行ける場所は限られるが…、
今日は君の希望に出来る限り応えよう」
そう言って差し出された
彼の手を私は取った
そのまま手を繋いで
家を出て通りを歩く
「あの、杏寿郎さん」
「何だ?みくり」
「どうして、分かったんですか?」
でも どうして
杏寿郎さんは
分かったのかな?
私の欲しい物
「知りたいか?」
「知りたい…です」
ふっと影が降りてきて
そっと触れるだけの口付けを
小鼻に落とされる
「簡単な事だが?
俺が…君を見ているからな。
君がいつも、努力をしてる姿も、
どんな信条を持っているのかも
理解しているつもりだ。
君の望みそうな事は理解している
つもりでは…あるのだが…」
そこまで言うと
私の耳元で次は囁くようにして
「答えあわせ…を、してもいいだろうか?」
ふっと笑みを浮かべると
トントンと人差し指で
自分の頬をつついて見せて来て
ふぅっとみくりはひとつ
ため息をつくと
杏寿郎の頬に口付けを落とした
私の欲しい物
悔しいけれど
杏寿郎さん… 大正解ですよ