第5章 君の名前を お相手:不死川実弥
「呼べ」
「え?」
「いいから」
「不死川君?」
呼べと言われたので呼んでみると
ぐっと手を握りしめられてしまった
「違ぇよ、バカっ!そっちじゃねぇ」
じゃあどっちなんだ
じっと鋭い視線で射抜かれる
恐る恐る 彼の下の名を呼んでみる
「実弥君」
「君付けんじゃねぇ!さねみだ、さねみ」
でも 不死川君の事
下の名前で呼んでるのって
お館様ぐらいなんじゃないかな?
「え。でも……呼んだら怒るんじゃ」
「俺がそうしろってんだろーがよ!
いいから呼べ!さっさとしろォ」
呼んでも呼ばなくても怒られるのだろうか?
「実弥」
言われた通りに不死川の下の名を呼ぶと
くしゃっと頭を撫でられてしまった
「できんじゃねぇかよ。みくり」
そう言ってにっと笑うと
みくりの手を口元へと運んで
みくりの手の平に自分の唇を押し当てた
そのまま位置を変えて
何度も手の平に口付けられる
なんで そんな所ばっかり?
「お前の手、いつも世話になってんかんな」
「えー、手だけ?手だけなの?」
不満そうにみくりが返してきた
「あん?なら、どこがいいんだよ?」
みくりが自分の手を自分の両胸に
手を添えて支えるようにして押すと
「胸……とか、は?」と言ってきたので
そっとその手の下に不死川が
自分の手を入れてパジャマの上から
みくりの胸を揉んだ
あくまでそっとなのだ
もっとギュッと 胸の形が変わるくらい
揉んでくれてもいいのに
口付けもだけど 触り方も優しい…
そっと壊れ物に触れるかのように撫でられると
少しじれったくなりつつも
じりじりとした感覚が溜まってくる
もっと もっと 強くされたいって
言いだしてしまいたくなる
「はぁんっ、あっ……、んっ、あ、は、ん」
胸の揉まれながら耳の輪郭を撫でる
その舌の触れ方も 時折耳にかかる吐息も
全てが全て 優しくて
初めてでもないのに 毎回こんなに
優しくしてもらって
気の毒になってしまうほど
両手で包むように下から支えて
持ち上げるようにして胸を揉まれる
胸の根元の境界線の辺りに沿うようにして
指が脇の下の辺りに当たる様にされれば
じりじりと胸の辺りが
じわっと温かくなってくる感じがして
たまらなく心地いい気持ち良さを感じる