第99章 日輪刀とチョコレゐト バレンタインネタ お相手色々 裏なし
その人との出会いは…正に
青天の霹靂だった
私は…その時の鬼との戦いで
利き足を負傷してて
上手く何時もの様に立ち回れなくて
苦戦を強いられていた…
自分の背中から聞こえる
荒々しい息遣い
小さな子供だ
その小さな子の腕の中には
その子の妹がいる
妹の方は…かなりの深手を負ってるから
一刻も早く…治療を受けさせなければ…
『お姉ちゃん…、
どうしよう…血…止まらない』
「大丈夫、君の妹は…死なないから。
しっかりそのまま、傷…その手拭いで
押さえてて。怖いよね?凄いよ、偉いよ。
君みたいな、お兄ちゃんが…居てくれて。
きっと、その子も感謝してる…」
お兄ちゃん… かつての私もそうだった
あの日 あの夜に…私が…蛍が見たいなんて
そんな事を言い出さなければ…
お兄ちゃんは…あんな風に…なる事も無かった
全部全部… 私が悪いんだ… あの時…
私がこの道を…鬼殺の道を選んだ時…
それを…泣きべそかいて謝罪する暇があるなら…
鬼を斬れと…言った人が居た…
今年の新人も使えないとぼやく様に言われて
自分が選んだこの道を…恥じる様な
そんな生き方はしたくないと思った
それなのに… 今の自分はどうだろう?
自分の命は…いいとしても
自分が守りたいと思うものひとつも…
満足に守れない…
悔しい… 一筋の涙が みくりの頬を伝った
まだ 夜明けまで時間がある
かと言って この鬼の首を…斬れるとも思えない
なら…せめて…この鬼が…
自分の身体を食らっている間に…
せめてこの子達だけでも…逃がしたい
ちらっと みくりが
少し離れた茂みの木の根元に目を向けると
そこには もう…こと切れた
かつての仲間だった 亡骸が2つ転がっていて
自分も…近い内にそこに加わるんだろうと…
だったら… 最後に…少しばかり…
悪あがき…してみるか…
この距離から…十分な回転数は得られないから
威力は知れて居るが
私の使える…最大限の威力の型…
生生流転…
刃を返して 構え直すと
スゥウウウッと水の呼吸を深めて
自分の中で気を練り上げる
「全集中…水の呼吸…、拾ノ型」
ザァアアァァ…
みくりの身体を渦を成しながら
水が取り囲むようにして現れる
くらっと自分の頭が回る様な…感覚を憶える