第99章 日輪刀とチョコレゐト バレンタインネタ お相手色々 裏なし
「コラァアアァ!みくり。
テメェ、出て来ォオイイ、
この、屋敷ん中、居るのは分ってんだぞォ!」
そんな全身から殺気を振りまきながらも
この屋敷の主であり
私の師範である 不死川実弥が
恐らく台所に私が置いていたアレを食べて
私を探して 日輪刀を振り回しながら
屋敷をウロウロと徘徊しているに違いない
「そろそろ帰って来る頃かと…思ってたけど。
思ってたより、師範のお戻りが早かったな」
独り言の様にしながら
聞こえない位の小さな声で
みくりがそう言うと
音を立てない様に咄嗟に身を隠した
天井裏を移動して屋敷の裏へと回ると
こそぉ~っと音を立てないままで
屋敷の屋根の上に出ると
そのままストンと裏口の方へ着地する
「よぉ。やっぱりここじゃねぇかと
思やァ、ここだったか、良い根性
してんじゃねぇかァアアァ!みくり」
「だってっ、あれは、まだ試作品ですからっ。
お出ししても居ない物を、師範が勝手に
食べちゃったんじゃないですか!」
そう 台所のあれは 試作品なのだ
しばらく任務で師範が
屋敷を留守にしてる内に…と
色々と試行錯誤して
試作に試作を繰り返して
日頃の感謝の気持ちを
師範に伝えたいと思って
こっそりと用意をしていたのに
胡蝶様に貰った
チョコレイト入りのおはぎ
足りない材料があったからと
買い出しに行ってる間に
師範が戻って来ていて
戻って来た上に まだ試作段階のそれを
お腹が空いてたからって
全部食べてしまうなんて…
誰が想像をして居ただろうか
「食いもん、んなもんに、
無駄にしてんじゃねェよ。バァたれがァ」
ピンっとおでこをデコピンで
思い切り弾かれてしまって
「痛っ!酷いですよぉお、師範っ」
「飯、食いたくても食えねぇ家のやつも
居んだぞォ?お前が何思って、んな事
しようとしてんのか知らねェが。
勿体ねぇだろうがァ。出せェ」
そう言ってデコピンで
ジンジンと痛む自分のおでこを
みくりが押さえながら
目をパチパチと瞬かせていて
「出すも何も、師範が全部
作ってる途中のも食べちゃったじゃないですかっ」
「お前の事だからよォ、まだあんのかと
思っただけだァ。どうせ、あれ作るまでに
もっと、酷でぇの作ったんじゃねぇのかァ?」
思わずその言葉に
図星だったのでドキッとしてしまった