第89章 今年のクリスマスは… 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
杏寿郎の腕に自分の腕を絡めて組むと
ギュウウっと杏寿郎の腕を抱きしめる
「みくり…あっち、見てみるといい」
坂になった高台からは
ベイエリアのショッピングモールの
観覧車が遠くに見えていて
ライトアップされた観覧車に
クリスマスツリーが浮かび上がる
「クリスマスツリーッ、観覧車の
ライトアップ。ツリーになってるっ」
「ああ。20日から25日までの
期間限定でな。毎時00分と30分に
このライトアップになるんだ。
最初はあの観覧車が見える、
海側のホテルの部屋でも
今日は取ろうかと思ったんだがな。
北側から観るのも悪く無いかと思ってな」
山から観る夜景は有名だけど
山に登ってしまえば
海側の夜景は遠くなってしまうから
杏寿郎は…北側を選んだって…事?
フッ…と杏寿郎が口の端を曲げて笑う
「後これは…、伊黒から聞いた話なんだがな…」
あっちとその海に浮かぶ様に見える
観覧車の方を杏寿郎が指さして
みくりがその指さす方向を見ると
「伊黒が関わってるプロジェクトでな。
市からの助成金がでるらしくて、
ウォーターフロントエリアの
賑わいや活気と、夜間景観の形成を
目的としてる事業なんだがな」
ヒュー――
ドォーーーーンンッ
ドォオオオンッ ヒューゥウ
神南港市のベイエリアに
突然大輪の花火が打ち上げられて
「神南港サプライズ花火プロジェクトの、
中の一つで、あの辺りのショッピングモールが
協賛で開催してる。クリスマスイベントなんだ」
「凄いっ、綺麗だね。花火」
「ああ、綺麗だな。
それに…ここからなら、2人占めだろう?」
こっちが腕を組んで抱きしめていた腕を
杏寿郎が抜いて離れると
こっちの腰をその腕で抱いて来て
グッと身体を引き寄せられてしまう
「メリークリスマス、みくり」
「メリークリスマス、杏寿郎」
真冬の花火を2人で見ながら
2人だけのクリスマスイブをお祝いする
2人だけど 2人きりじゃないようでもあって
2人きりじゃないようで
2人きりにも 感じる様な
そんな 今年のクリスマスだった
旦那さんと過ごすクリスマスは
これから先もずっとだけど
杏寿郎と2人だけのクリスマスは…
今年のこのクリスマスが…最後なんだなって
ふと…そんな風に思ってしまうと