第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
「これを髪に挿した
貴方を見てみたいと言う、俺の願いを、
叶えては頂けないだろうか?」
かんざしを贈る意味について
私が意識して 断ろうとしたのを
そう返されてしまっては
受け取らないとは……言いにくくもある
「でも、……こちらは少々。
私には、派手過ぎて。…その…
似合わないのでは、ないかと……」
「そんな事はない。きっとお似合いになる。
少なくとも俺はそう思っているが、
違うだろうか?それに挿してみて貰えないと、
それも分かりませんが?」
このかんざしが 似合うか
似合わないかとか それよりも
どうしてここまでして
煉獄さんは 私に心を尽くしてくれるのか
その 彼の行動に
自分の中にある 感情が
私の手から 離れて行って
膨らんでいくばかり……
自分で 抑える事が 出来なくなりそうで
怖いと…すらも 感じる
ああ そうか
私はこれほどまでに 彼に
煉獄さんに 惹かれていたんだって
こんなにも
いつの間にか 強く
彼に 惹かれていて
お金の為にそうするんだって
それだけの関係なのだと
身体を重ねた所で 割り切れるのか
正直…… 自信をなくしてしまいそう
「すいません。でしたら…、お願いしても?」
そうして 煉獄さんから
かんざしが挿しやすくなるように
私は彼に対して背中を向けた
そっと彼の手が
私の髪に触れて来て
スッとかんざしを
髪に挿しこまれるのを感じる
「髪は引っ張られたりは
しておりませんでしょうか?」
そう気を遣われて
尋ねられてしまって
「はい。大丈夫です
…その、大丈夫ですか?」
姿見がないので
かんざしを挿した
自分がどうなってるのかわからず
目の前に居る 煉獄さんに尋ねた