第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
まだ日は落ちておらず
少し外は明るいが
ぶら下げられている提灯には
明かりが灯っていて
時間もまだ早い所為か
そこまで混んでない通りを
二人で手を繋いで並んで歩く
出店もまだ準備中の所もあり
やっている所はちらりほらりだった
「やはり、少し早すぎたようだ」
「でも、やってる所もありますし、
ゆっくり巡るのも悪くないと思います」
そう言えば 手
店から繋いだまま……だ
チラッと視線を隣を歩いている
彼の方へ向ける
さっきは店だったし
トキ叔母さんも居たのもあるし
慌ただしく バタバタして
込み入った話をしていたから
じっくりとは
その……見ては居なかったのだが
煉獄さんも祭りだからか
浴衣姿で
いつもの彼とは
随分と違った印象を受ける
やや赤みを帯びた少しばかり
暗めの茶色の そう例えるのなら
…駱駝色の様なベースの色が
主になっている浴衣で
肩から腰の方へと向かって
斜めに色調が
変化していく染め方になっている
上に向かうほど 茶色味が濃くなり
腰の方へ向かうほどに赤みを帯びて
腰の辺りは夕日の様な緋色になっていた
そして腰から足元へ掛けては
今度は色調が下へ行くほどに
青みを帯びて行き
裾の辺りは濃紺へと寄って行く
まるでその色見は
夕陽が落ちたのちに
夜のとばりが降りて来るかの様だ
無地ではあるが…
インパクトのある印象的な色合いで
彼でないと 着こなせそうにないような
そんな浴衣だった
派手なのに
そう派手に見えないのは
彼の髪の色のせいだろうか…と
思わず
その姿に見とれてしまって居た
知らず知らずのうちに
ドンッっと腰の辺りに
衝撃を感じて みくりが我に返ると
小さな子供達が
自分達の脇を走り抜けて行って
それぞれにその子供達も
浴衣や甚平に身を包んでいた
地元の祭りなのだから
私もあれぐらいの年齢の時から
この祭りには毎年来ている
地元を離れている友人も
この時期に合わせて帰省する事が多いから
歩いて居れば 知った顔には出会うのだ