第77章 ふたり 一人独り 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
じっとそのパジャマで半分だけ
顔を隠した上からじぃっとこっちを
睨むようにして見ているが
パジャマで隠れている口元はむくれてるんだろう
「ハハハッ、俺の奥さんは、
相変わらず、恥ずかしがり屋さんだな?
俺も、慣れない土地で寂しかったんだぞ。
君に寂しい思いをさせた分、週末は君から
片時も離れないつもりでいるんだがな?」
ベッドの上に身体を倒されて
お互いの温もりを確かめ合う様にして
抱き合いながらキスをする
「んっ、杏寿郎…ッ」
「みくり」
杏寿郎の体温と匂いに包まれる
ここに居てもいいんだって
許されてる
「杏寿郎…、もっと…してっ。
ぎゅって…して欲…しい」
大学生の時
私はずっと 一人だったんじゃないかって
沢山の人といても 独りだって
そんな風にあの時は感じて居た
奏さんの事を想い続ける事で
自分はひとりじゃないって
自分を自分で慰めてたから
一人じゃないのに 独りになっていて
他の女子学生の中にも
ましてや篠田のサークルの
他の女の子達とも 自分は違うだって
そんな事ばっかり あの時考えてた
ひとりぼっち
自分で自分の殻に閉じこもって
そこに居るしか出来なくて
ずっと ひとりぽっち
「杏寿郎…、ありがとう…ね?」
「ん?どうした?みくり」
「私の事、杏寿郎のお嫁さんにしてくれて」
「なんだ、何の礼かと思ったらそんな事か」
「ねぇ、杏寿郎」
「言われなくても分ってるつもりだが?
好きだ、君が。みくり、愛してる」
そのまま 彼が顔を近付けて来て
キスの予感に瞼を閉じる
「私ね、杏寿郎の事、大好きだし、
杏寿郎の奥さんになれて嬉しい。
ねぇ、杏寿郎。ずっと、この先も
一緒に居てくれる?杏寿郎と
一緒に居てもいいの?」
「そんなの、聞くまでもないだろう?
これから先も、ずっと、
俺と一緒に居てくれるか?
君と、ずっと、一緒に居たいんだ」
あの時の私は独りで
私も杏寿郎も 一人と一人だったけど
でも今はそうじゃない
そう 今は ふたりだから
一人と一人でふたり
独りでも 一人でもなくて ふたり
だからもう 独りじゃない
ふたり 一人独り
ー 終 ー